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平成21年6月定例会(第2日目) 本文
平成21年6月定例会(第2日目) 名簿

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  1. 島根県議会 2009-06-02
    平成21年6月定例会(第2日目) 本文


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    島根県議会会議録検索 検索結果一覧へ戻る 検索をやり直す (このウィンドウを閉じます) 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 平成21年6月定例会(第2日目) 本文 2009-06-25 文書・発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別ウィンドウ表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言の単文・選択・全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 51 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言・ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 : ◯議長田原正居) 選択 2 : ◯島田三郎議員 選択 3 : ◯議長田原正居) 選択 4 : ◯知事溝口善兵衛) 選択 5 : ◯議長田原正居) 選択 6 : ◯土木部長(鳥屋均) 選択 7 : ◯議長田原正居) 選択 8 : ◯教育長藤原義光) 選択 9 : ◯議長田原正居) 選択 10 : ◯細田重雄議員 選択 11 : ◯議長田原正居) 選択 12 : ◯知事溝口善兵衛) 選択 13 : ◯議長田原正居) 選択 14 : ◯教育長藤原義光) 選択 15 : ◯議長田原正居) 選択 16 : ◯副議長(上代義郎) 選択 17 : ◯石橋富二雄議員 選択 18 : ◯副議長(上代義郎) 選択 19 : ◯知事溝口善兵衛) 選択 20 : ◯副議長(上代義郎) 選択 21 : ◯総務部長加松正利) 選択 22 : ◯副議長(上代義郎) 選択 23 : ◯環境生活部長(山根成二) 選択 24 : ◯副議長(上代義郎) 選択 25 : ◯農林水産部長(石垣英司) 選択 26 : ◯副議長(上代義郎) 選択 27 : ◯石橋富二雄議員 選択 28 : ◯副議長(上代義郎) 選択 29 : ◯知事溝口善兵衛) 選択 30 : ◯副議長(上代義郎) 選択 31 : ◯田中八洲男議員 選択 32 : ◯副議長(上代義郎) 選択 33 : ◯環境生活部長(山根成二) 選択 34 : ◯副議長(上代義郎) 選択 35 : ◯健康福祉部長(錦織厚雄) 選択 36 : ◯副議長(上代義郎) 選択 37 : ◯農林水産部長(石垣英司) 選択 38 : ◯副議長(上代義郎) 選択 39 : ◯土木部長(鳥屋均) 選択 40 : ◯副議長(上代義郎) 選択 41 : ◯議長田原正居) 選択 42 : ◯加藤勇議員 選択 43 : ◯議長田原正居) 選択 44 : ◯知事溝口善兵衛) 選択 45 : ◯議長田原正居) 選択 46 : ◯総務部長加松正利) 選択 47 : ◯議長田原正居) 選択 48 : ◯健康福祉部長(錦織厚雄) 選択 49 : ◯議長田原正居) 選択 50 : ◯教育長藤原義光) 選択 51 : ◯議長田原正居) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:        午前10時3分開議 ◯議長田原正居) これより本日の会議を開きます。  日程第1、「県政一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑」を行います。  これより一般質問を行います。  質問の通告がありますので、議長が指名して順次発言を許します。  島田議員。  〔島田三郎議員登壇、拍手〕 2: ◯島田三郎議員 自民党議連の島田三郎でございます。  澄田信義前島根県知事におかれましては、去る6月13日に御逝去をされました。謹んでお悔やみを申し上げます。  ただいまから一般質問を行いますので、知事始め関係部長の御答弁をよろしくお願い申し上げます。  最初に、経済対策についてであります。  昨年秋のリーマンショックを境に世界経済は激変し、国際的な金融危機と同時不況は深刻度を増しています。戦後の資本主義経済の象徴であったGMやクライスラーは経営破綻をし、一時的とはいえGMの株式の大半を米国政府が保有し、実質的に国有化される事態は、これまでの我々の常識では考えられないことであります。「100年に一度」「世界恐慌の再来」「新自由主義の終えん」など、さまざまな言葉で形容されるほど、このたびの経済危機は未曾有のものと言えます。  日本経済におきましては、米国や欧州のように金融機関が多数破綻するなどの金融危機の状況にはありませんが、足元のGDPの落ち込みが極めて顕著であり、実体経済について見ると、ある意味米国以上の危機であります。これまで米国の過剰消費に乗っかる形で輸出を伸ばし、外需依存でバブル不況後の経済回復を図ってきた日本にとっては、米国とは別の形で問題が発生し、ツケが回ってきた皮肉な現象と言えます。  日本経済にとりましては、この際内需を拡大し、GDPの需給ギャップを埋めるべく、確かな方針と取り組みが必要であると考えます。国、地方、民間の経済主体が協力し、考えられる対策や手段をすべて駆使してこの経済危機を克服することが最も重要ではないでしょうか。  国においてはこのたび、真水15兆4,000億円の経済危機対策の補正予算が可決され、実行する運びとなりました。昨年来、俗に3段ロケットと称される3度の経済対策が継続的に実施されてきましたが、今回は新年度に入った直後の、いわば4段目の点火であり、異例と言うべき大型の経済対策であります。  これまでの一連の経済対策においても、中小企業向け保証枠の拡大や高速道路料金の値下げなど、さまざまな金融対策や生活・雇用対策が図られましたが、このたびの追加策は、まさに政策総動員と言える内容であります。事業規模は56兆8,000億円に及び、雇用・金融などの緊急的な底割れ回避のほか、低炭素革命や健康長寿・子育て、21世紀型インフラ整備など、未来への投資が盛り込まれております。地域の活性化や安全・安心確保対策も盛り込まれており、需要創出効果は相当大きいものと判断されます。  このような中、先日17日に政府は、月例経済報告の景気判断として「一部に持ち直しの動きが見られる」と上方修正を行いました。生産や輸出の持ち直し、株価回復の動きなど、明るい兆しはありますが、他方、失業率や有効求人倍率は一層厳しさを増しており、中小企業経営者の景況感などもあわせて考えると、実体経済の先行きは予断を許しません。決して楽観視せず、国内の需要や雇用を確実に下支えし、経済の底割れ回避をすることが当面何より必要であると思います。  その点、今回の補正予算編成における政府・与党の方針、考え方やスピーディーな対応ぶりは当を得たものであり、内容や財源面の考え方で疑問符がつく野党の経済対策とは一線を画するものがあると考えられます。  また、麻生総理は就任以来、地方が元気にならないとこの国は元気にならないという信念のもと、地方重視の対策を実行しております。経済対策を行う地方に対して、地方が主体的に自由に使える交付金を20年度の国の1次補正においては全国総額で260億円、2次補正においては6,000億円措置がなされたところであり、さらに今回の国の補正予算において1兆円を措置した上に、公共事業関係でも1兆4,000億円の交付金を決定し、地方の財政負担を軽減し、国全体で景気回復を実現する施策を実施しています。
     厳しい財政状況の県にとって、これまでの国の政策は非常にありがたいものであり、これがなければ本県経済の落ち込みはさらに厳しいものとなっていたと考えております。  知事は、これまでの経済対策に関する国の対応についてどのように評価しているか、お伺いをいたします。  次に、県の経済対策についてであります。  県では去る2月議会において、20年度2月補正予算と21年度当初予算をあわせて207億円の経済対策を決定いたしました。この中で、6割強を公共事業などインフラ整備の促進に充て、公的な支出をふやすことによって、減退する民間需要を補完することや、また非正規雇用の雇いどめなどによる雇用不安に対応するため、3カ年間で延べ2,600人の雇用創出が図られたところであります。  具体的には、歩道や生活道路、河川改修など、おくれている社会インフラの整備や県立学校の耐震改修など、早期に対応することが求められている事業を前倒しして実施することで、将来にわたって安心して暮らせるための生活基盤の整備の促進が図られました。  中小企業対策においては、経営革新や新分野進出、販路拡大など経営基盤の強化を図ったり、農林水産業対策では、省エネ・省コスト化、将来の担い手となる新規就業者の確保対策を促進したり、雇用対策では、地域資源を雇用につなげていく事業を実施し、継続的な雇用を目指す事業が盛り込まれました。  また、地場産業の振興に資するように、県産材や石見石州瓦の活用を図っていくなど、今後を見据えたさまざまな対策が決定したところであります。  そして、今回国の補正予算に呼応して、さらなる経済対策を実施することとし、6月補正予算としては過去最大規模の454億円の補正予算案を打ち出されたところであります。  さかのぼりますと、平成10年6月の一般会計補正予算において、今回とほぼ同規模の450億円の経済対策が決定されております。このときの対策の中身は、普通建設事業が438億円と、そのほとんどを占めていました。一方で、社会資本整備のおくれている本県にとりましては、通常よりも有利な財源で整備が促進されたことから、この対策に積極的に取り組み、その結果、経済対策として需要創出、雇用確保を行いながら、社会基盤、生活基盤の水準も相当程度向上したところであります。  その後の全国的な社会経済情勢の変化は、経済対策の中身にも大きな変化を与えました。引き続き、基盤整備にも取り組む一方で、医療、福祉、交通、通信などの生活者の暮らしの確保、中小企業対策や農林水産業対策など産業振興、観光や二地域居住などの交流といった視点での対策が盛り込まれるようになりました。  県においても、このたびの経済対策では、社会基盤・生活基盤整備、農林水産業対策、商工業対策、観光振興、雇用対策、医療・福祉の充実など、さまざまな政策課題に積極的に対応した事業を行われようとしています。  そこで、お伺いいたします。  知事は、どのようなお考えに基づいて今回の経済対策を決定されたのでしょうか。  また、こうした経済対策が県内経済にどのような効果を与えるものとお考えなのか、あわせてお伺いをいたします。  また、国の対策のうち、詳細が未確定のため今回の補正予算への計上を見送ったものがあると伺っております。その中には、地域医療再生事業といった本県にとりまして最重要課題の案件もあるようです。自民党議員連盟においても、この案件の政務調査活動を行っていきますが、知事におかれましては、今後引き続きこうした対応への適切な対応を行われますように要望をいたします。  次に、基金についてであります。  今回の国の補正予算では、環境、福祉、子育て支援などに重点を置いた46の基金を造成し、総額4兆3,000億円余が盛り込まれ、このうち都道府県に対するものとして、14の基金で総額2兆1,000億円余が交付されることとなっております。これは全治3年と言われる経済危機を克服するため、単年度の予算措置だけでは対応できない対策について、複数年度にわたって計画的に地方自治体を財政支援するものであります。  また、今回の景気後退はある程度長く続く可能性があると考えられ、来年度以降の情勢を踏まえた財源確保と弾力的な予算執行を行うことが重要であるとの考えから、先月末、自民党議員連盟では県の補正予算について、公共事業の確保や雇用対策の充実など6項目の実現を求めるとともに、今後二、三年を見据えた計画的な事業を推進するように知事に強く要望したところであります。  県においては、この要望を受け、今回の補正予算案について、予算の平準化を図る工夫をされ、その対策として総額224億円の基金を積み立て、21年度から23年度の3カ年間で執行するとのことであります。  このたびの基金の中に、国の補正予算である地域活性化・経済危機対策臨時交付金の一部を地域活性化・経済対策調整基金として29億円を積み立てることとされています。国から交付されるこの交付金は、地方自治体において、地球温暖化対策、少子高齢化社会への対応、安全・安心の実現、その他将来に向けた地域の実情に応じるきめ細かな事業を積極的に実施できると聞いております。  県が積み立てる経済対策調整基金は、県内の経済状況を的確に見きわめ、効果的な執行が求められますが、どういう考えで設置されたのか、お伺いいたします。  これとは別に、新たに9つの外部団体への総額11億6,000万円余の基金を造成されるとのことであります。例えば、島根県観光連盟には3億6,000万円、島根県木材協会には1億9,000万円余、石州瓦工業組合には1億8,000万円余の基金を積み立てるとお聞きいたしております。これらの基金は、県として中期的な展望を持って決定されたものと考えますが、このたびの外部団体の基金造成を打ち出されたのはどのような考え方によるものか、お伺いをいたします。  また、通常、外部団体への基金は、予算措置されると次年度以降の予算措置は団体に任せてしまうことになりますが、来年度以降の県予算の編成に当たっては、当然基金との調整が必要と考えられます。基金の執行について、各団体の自由に任せるのではなく、県として確認の必要があると考えますが、各団体の事業計画及び執行状況について県としていかに精査されるお考えなのか、お伺いいたします。  次に、公共事業についてであります。  本県の産業構造は、他県に比べて建設業の割合が高く、例えば平成18年度において建設業が県の経済に占める割合は県内総生産の8.5%、雇用では全産業従事者の約12%を占めるなど、地域経済の活性化を図り、地域の雇用を維持する上において建設業対策は必要不可欠なものであります。  特に中山間地域では建設業が地域生活に密着し、公共施設の管理や災害時の迅速な対応など、地域の保全になくてはならない存在となっております。  先日10日には鹿足郡において、昨年7月に解散した島根県建設業協会鹿足支部に所属していた建設業者が、町内からの災害時に備えた体制整備を望む強い声にこたえて新たに鹿足郡建設業協会を立ち上げ、再出発したところであります。県民にとって、本県の建設業者が地域生活に果たした役割は大きく、安全・安心な暮らしを送るためには建設業者なくして地域の維持存続は考えられません。  しかしながら、平成14年12月に策定された島根県財政健全化指針では、平成15年から平成17年度の集中改革期間中に補助公共、単独公共合わせて平成14年度に比べ30%程度削減され、平成19年10月に公表された財政健全化基本方針では、国からの補助を受けて行う公共事業及び県が単独で行う公共事業の事業費について、平成23年度の事業費を平成19年度のおおむね70%に削減するなどの取り組みが行われています。その他、国、市町村の公共事業費の縮減もあり、県内の公共事業費は平成10年度に約4,700億円余であったこの年をピークに減少の一途をたどっており、平成19年度には2,100億円と47%近く落ち込んでいます。  この間、事業所数は5,677から4,974へと約12%減少し、また従事者数は4万5,278人から3万4,443人と約24%減少もしております。事業所数の減少率に比べ従事者数の減少率が倍程度になっていますが、このことは建設業者の体力が安定的な雇用の維持ができないほど落ち込んでいることを示していると考えられます。やがては本格的な事業所の激減にもつながると懸念をされております。  執行部におかれては、財政健全化方針に基づき、公共事業費の県負担額についてはシーリングを守りつつも、交付金事業の活用などにより、事業費ベースでは最大限の確保をするよう努力をされていますが、建設業者にとっては厳しい日々が続いているのが実情であります。  そういう中において、100年に一度と言われる経済危機に対応するため、今年2月の補正予算に続いて、今回6月補正予算においても118億円に上る公共事業費を計上されたことは、県内の景気回復に向けた大きな一手であると考えております。これにより、6月補正を加えた今年度公共事業予算は対前年度比約9%増となり、さらにこれに平成20年度2月補正予算を加えると、対前年度比18%と大きく増加することになります。  とりわけ、本県のインフラ整備は、物流の促進や観光の振興に欠くことのできない高速道路の整備を始め、安全で安心な日常生活を支える生活道路、災害を防ぐ河川や砂防施設の整備など、ほとんどの施設の整備が全国平均から大きくおくれているのが実情であります。  今回の補正予算の活用を含めて、高速道路を始めとする社会基盤整備の一層の推進を望むものでありますが、知事はどのように考えておられるのか、お伺いをいたします。  次に、2月補正予算で計上された経済対策となる公共事業予算については、県下満遍なく効果が出るよう、歩道の整備など身近な土木施設の設置や維持修繕に重点的に配分をされました。現在、2月補正予算及び今年度当初予算の早期執行に取り組んでおられる中、すぐに工事にかかれる場所もだんだん少なくなってきているのではないかと心配しています。  今回の補正予算の編成に当たっても、景気回復に効果的なものとなるようお願いするところでありますが、具体的にどのような考え方で予算を配分しようとしているのか、お伺いをいたします。  このように、おくれている本県の社会資本整備を着実に進めるため、また地域経済の活性化や雇用を維持するため、国の経済対策に呼応し、118億円の公共事業予算を確保されたことは喜ばしいところであり、地域の建設業者も一息ついたと考えております。  しかしながら、平成20年度末の国の借金は846兆円にもなり、国の財政はさらに危機的な状況となっており、このような大規模な財政支出を長らく続けることは困難であり、いずれかは大幅な落ち込みが予想されるところであります。  また、本県においても、今回の大規模な公共事業予算は、その大部分は国からの財政措置によって確保されたものであり、県単独での公共事業予算の確保は、財政健全化基本方針の中にあっては削減は避けられない状況になっております。  こうした国、地方を通じた厳しい財政状況を勘案すれば、平成22年度以降のいずれかの時期において、相当急激な公共事業予算の減少が懸念されます。社会資本整備がおくれている本県にあっては、公共事業予算の確保は必要不可欠であることはもとより、今後予想される急激な公共事業予算の減少は、本県の基幹的産業である建設業全体にとって死活問題となると考えられます。  そういった観点から、今後の予算の見通しについてお伺いするとともに、予算の配分に当たっては、中期的な展開に立ち平準化を図るべきと考えますが、所見をお聞かせください。  次に、教育についてであります。  少子化の中、一人の父親として私の思いは、県内で生まれてきた子供たちが成人した後、県内のあらゆる場で活躍して経済を支え、地域を支え、また将来を担う子供たちへとつないでいく姿であります。最後はやはり人材であり、教育の重要性は不況の中であっても変わりません。そう考えますと、こういう状況の中であっても、補正予算を十分に教育に充て、子供たちの知・徳・体をバランスよくはぐくむために、ハード・ソフト両面から取り組みを充実すべきと考えます。  まず、教育予算のハード面についてお伺いいたします。  学校の施設整備は教育環境の基盤となるものでありますが、県財政が非常に厳しく、財政再建が進められる中でも学校の施設整備の予算については、経済対策の効果も上げながら教育環境の整備に寄与するものであり、十分充て続ける必要があると考えます。特に今回の補正予算において、学校の施設整備を集中的に進めることは極めて重要だと考えております。  県においても、経済対策として平成20年度2月補正では約11億円を充て、耐震補強工事の前倒し、校舎等大規模修繕工事の前倒し、学校施設バリアフリー化工事などの関係の予算を措置されました。また、今年度の当初予算でも、前年度と比較して約26億円、率として60%増とし、約67億円が措置されました。これにより、特別支援学校高等部の不足する教室や学習施設等の整備、来年度開校する宍道高校の校舎、屋内運動場の建設工事、益田翔陽高等学校の測量実習棟の新築などに充てられております。  このたびの補正予算についても、学校の施設整備は経済対策として意義があり、教育環境の整備にも大きく寄与するものであり、集中的に整備を行い、教育環境の充実も図るべきではないかと考えておりますが、お考えをお伺いいたします。  次に、学校の施設整備の中で、特に耐震化についてであります。  学校施設は、児童生徒が一日の大半を過ごす活動の場であるとともに、非常災害時期には地域住民の応急避難場所としての役割を果たすことから、その安全性の確保は極めて重要であります。  先日、文部科学省から今年4月1日現在の耐震改修状況調査の結果を公表したところでありますが、県内の学校の校舎や屋内運動場など公立高校で耐震診断が実施されていなかったり、実施済みでも補強・改築工事が完了していない施設があることが報道されております。  そこで、現在、県立高校や特別支援学校の耐震化事業について、現状と今後の取り組みについてどのようにお考えを持っているか、お聞きをいたします。  県立学校の建物は、昭和56年度以前の建築の割合は60%以上を占めておりますし、昭和57年度以降の建物についても老朽化が進んでおります。老朽化した施設については改築などの整備が進められていますが、学校建物は経年により修繕などが通常発生いたします。また、バリアフリー化につきましても、特別な支援を必要としている児童生徒がより利用しやすく教育を受けやすい県立学校施設を目指して、平成11年度から毎年度予算措置がされていますが、まだ十分ではないと考えています。  そこで、老朽化した施設やバリアフリー化が求められている施設などについて、児童生徒が安全で快適な教育を受けることができるよう施設整備にしっかり取り組む必要があると考えますが、取り組みについてお伺いをいたします。  次に、教育予算のソフト面についてお伺いをいたします。  教育を充実するためには、ハードの基盤をしっかり整えることに加え、言うまでもなくソフト面の施策についても非常に重要であります。  県におかれては従来から、日々変わりゆく社会情勢に加え、全国的な教育改革が実施されている現状を踏まえ、今後の島根県の教育を推進するための指針として、子供の教育の基本的な方向を示した「しまね教育ビジョン21」に基づき、ふるさと教育の推進、地域の教育力を生かした教育の推進、少人数指導の充実と拡大を柱とした島根の特色を生かした教育の推進が図られているところであります。  当初予算でも、財政健全化に向けた県全体の取り組みとして、予算の縮減や効率化を図る一方で、今年度から移行期間が始まる新学習指導要領に対応するための予算、学校図書館へ新たな人材を投入することになる子ども読書活動推進事業、高校生の職業観の醸成や県内就職への推進、小学3年生から中学3年対象の学力調査を始めとする学力向上対策、島根の特色を生かした取り組みであるふるさと教育など、学校と地域の連携、さまざまな教育課題に対応するために必要な予算の確保に努められているところであります。  今回の補正予算のソフト面の施策としても、当初予算で措置された事業に加え、子供の知・徳・体がバランスよくはぐくまれ、将来の地域活性化の担い手になってもらうよう、島根の特色を生かした教育を推進する事業を実施していくことが重要であります。  そこで、補正予算の施策として、島根の持つ自然や文化を生かし、ふるさと島根の歴史・文化を幅広く学ぶ子供の体験学習、県としても特色的な取り組みとなっている読書活動のさらなる推進、県民に活力を与え、明るく豊かで地域の形成に大きく寄与するスポーツの振興など、将来の地域活性化の担い手となる幅広い人材育成に資する取り組みの強化についてお考えをお伺いいたします。  以上で私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 3: ◯議長田原正居) 溝口知事。  〔溝口知事登壇〕 4: ◯知事溝口善兵衛) 島田議員の御質問にお答え申し上げます。  まず初めに、これまでの国の経済対策に対しての評価はいかにという質問がございました。  幾つかのポイントが評価に当たってあると思います。  第1は、対策決定のプロセスでありますけども、昨年秋の危機発生以来、政府は迅速かつ大胆に対応されてきておるというふうに思います。議員御指摘のように、やはり今の経済危機、世界的な危機は100年に一度といったような異例のもんだと私も思っております。そういう状況に対応して異例の対応を打っておると、異例の事態に対応しているというふうに評価をしているところであります。  第2に、その対策の中身でありますけども、金融システム安定ということももちろんありまして、そういう対策も打たれておりますけども、やはり民間の需要が減退をしておるわけでございます。先行きの見通し不安とかいろいろ要因があるわけですけども、そうした場合はやはり公的部門で減退する需要を補てんするほかないわけであります。そうしないとさらに生産は落ちていくわけでありまして、ある意味でいろんな批判もあると思いますが、こういう事態にはやむを得ない措置だというふうに思います。そういう意味で、大規模な需要創出が行われているという点は時宜に合ったもんだというふうに評価をしております。  第3に、内容でございますけども、それも国民、政府が日ごろいろんな問題を抱えてて、こういう問題に対応しなきゃいかんという問題が幾つも山積をしているわけでありますけども、需要追加対策を打ちながらそういう対策に対応してるというふうに思います。議員が御指摘になったように、政策総動員といったような形になっていると思うところであります。例えば、直接的な雇用の創出といったことがあります。それから、環境保全、温暖化対策、省エネ、少子化など、中期的な課題にこの際対応してるということ。それから、医療、福祉、介護など国民生活に密着して、必ずしも十分な整備が行われてない分野に対して相当額の資金を投入する。あるいは、基幹的なインフラあるいは生活に密着したインフラ整備などもおくれてる分が随分あるわけでございますけども、そういうところに資金が投入されているということでございます。  第4に、地方との関係でありますけども、これまでこの危機以前におきましては、ともしますと都市の発展に支えられてたせいもありまして、国の政策が地方に対して配慮が少し欠けてたわけでありますけども、これが近年少しずつ改善しておりますが、今回の対策の中で非常に大きな変貌を遂げたというふうに思っております。御指摘がありましたけども、地方に対して事業の執行が容易になるように各種の交付金が一般財源として、あるいは特定目的として交付されます。それから、公共事業などにつきましても、地方に対して事業がしやすいような対応がとられているわけでございます。この点も大変評価したいと思います。特に、島根などはやはり国からの財源手当てに大きく影響を受けるわけでありまして、今回のような措置がなければ県として2月補正、本年度当初、今の6月の補正といったような大規模な経済対策を打つことは大変難しかったというふうに思っておるところであります。  それから、5番目でありますけども、事業の執行に当たりましていろんな工夫がなされているということです。やはり景気の後退がある程度長く続くということも想定し、さらに予算の単年度主義といった制約をある程度緩和するということで、基金を積み立てるというのが今回国の政策の中で多用されておるわけでございます。それも新しい動きではないかということで評価をするところであります。  他方、短期間でまとめられておりますから、細部が十分積み切れてない部分も国においてあるように思います。やはり地方から、地方の実情を踏まえた使いやすい交付金、補助金になるように我々もよく注文をつけていかなきゃいかんというふうに思っているところであります。  また、景気の後退、まだしばらく続く可能性も非常に大きいわけでございまして、政府、引き続き弾力的な景気対策に心がけるように、これもよくお願いをしていかなきゃいかんというふうに思っているところであります。  次に、県の経済対策でありますけども、今回の補正予算は四百五十数億円でございますが、大体2つの部分に財源としては分かれているというふうにお考えいただいたらいいと思います。  1つは、国の補正予算で地方に財源を交付して、具体的な分野ごとにこういう施策をやってもらいたいと、それに対して交付金を出すといったものが相当額に上っているわけでございます。これが4分の3以上になっておると思います。具体的には、医療の充実確保、それから介護、福祉の充実等々、それから雇用対策、そうしたものにつきましては大体基金を造成いたしまして中期的な展望のもとに継続的に行うというようなことが行われておりますし、それからインフラ整備のための公共事業あるいは学校等の耐震化、バリアフリー化などにつきましてもいろんな対応がなされておるわけでございます。この分野は国の考え方によって使途が大体決まってまいりますが、しかし大体こうした分野は我々地方は国に対して充実をやってほしいと言ってきたものがほとんどでありまして、県の政策と非常にマッチをしてるというふうに考えておるところでございます。  それから2番目は、地域活性化・経済危機対策臨時交付金、これが百億円ちょっとございますが、これは一般財源として交付されるもんでございまして、県の単独事業の財源に充てられるわけでございますけども、この部分を活用しまして県の単独公共事業でありますとか、あるいは農林水産業振興、観光あるいは産業振興、教育、文化の振興などに充てているところでございます。  こうした考え方で今回の補正予算を編成しているわけでございまして、その結果といたしましては、医療、介護、福祉の充実に164億円、社会基盤・生活基盤整備に129億円、産業振興、雇用対策に100億円、そのほか環境対策強化、教育、文化、社会貢献活動などさまざまな分野に予算を計上しているところであります。  次に、対策の経済的な効果について御質問がありました。  いろんな試算があると思いますが、非常に大まかな試算をいたしますと、今度の6月補正予算454億円の規模でございますが、このうち21年度に事業費として支出される分は230億円でございます。残りの部分は、積立金でありますとか、若干重複する部分があるから差が出るわけでありますが、230億円が事業費。それから、2月補正、本年度当初予算の対策を2月議会でお認めいただいたわけでございますけども、その中に、通常であれば多分できなかったという対策を特別な経済対策としてくくっておりますけども、大体これが207億円あります。今回合わせますと437億円になるわけでございます。県内のGDPが大体2兆5,000億円弱でありますから、この1.8%ぐらいに相当すると。今後1年ぐらいをかけまして1.8%ぐらいのGDPベースで事業の追加が島根県内で出てくるというふうに考えております。ほかにも、市町村にも国から交付金が行っておりますし、あるいは個人に例の特例給付金という形で行ってる部分もありますから、そういうものを合わせますと相当規模の経済効果があるだろうというふうに見ているところであります。  次に、経済対策調整基金の設置についての考え方について御質問がありました。  議員御指摘のとおり、景気に一部明るい見通しが見られますけども、先行きはなお不透明でございまして、今回の景気後退はある程度長く続く可能性があるわけでございます。このために、経済対策で実質事業も短期間に使い切ってしまうということではなくて、ある程度経済の状況を見ながら、平準化しながら、事業が継続できるように対応しなきゃいかんというふうに考えております。政府もまさにその考え方でいろんな基金を創設をしたわけでございます。政府が創設した基金はそのまま県でも基金として残ってまいりますから、来年度、再来年度等事業実施に状況を見ながら計画的に実行していくということであります。  それから、これに加えまして、県としても単独事業に幅広く使える地域活性化・経済危機対策臨時交付金のうち3割程度を基金に積み立てまして、今年度の補正予算を含め、経済対策の財源として確保をとりあえずしているということでございます。状況を見ながら、この扱いについてもまた議会にもお諮りをしたいというふうに考えているところであります。  それから、公共事業の見通しと、それからその平準化の必要性についての御指摘がありました。  先ほど申し上げましたように、今回の景気後退、世界的なものでありまして、ある程度長く続く可能性がありますから、国に対しても、状況を見て対応してほしいということを我々からも引き続き言っていかなければならないと思います。  県におきましては、やはり社会資本整備がおくれており、公的な依存度が非常に高いわけでございまして、公共事業費の変動が地域経済に与える影響をできるだけ緩和していくということは大事な課題でありまして、このため予算の平準化も図るということを考えているわけでございます。先ほど申し上げましたように、経済対策調整基金を積み立てているというのもその一つの工夫であります。  また、今後の中期的な財政見通しに関連して申し上げますと、毎年秋ぐらいにその時々の経済情勢、国の施策等を勘案して見直しまして、それをベースに翌年度の予算編成に当たっているところでございます。今年もそうした手順で行っていきたいと思っているわけでございますけども、県としましては、今後とも経済状況を注視しまして、国の対策をよく見ながら、御指摘のあった公共事業を含めまして必要な対策を弾力的、柔軟に講じることができるよう努めていきたいというふうに考えているところであります。  次に、外部団体への基金造成について御質問がございました。  県の予算のうち、一定の事業につきましては、県自身ではなくて民間の団体等が行うというのが適当だというものがございます。やはりその団体の専門性を活用するということがあるわけでございまして、観光でありますとか産業振興あるいは文化、スポーツ等の振興、社会福祉、女性の社会参画活動等々でありますが、そういうものにつきましては外部団体に基金を積み立てまして、複数年度にわたって事業を実施するための財源を確保すると。それによって予算の平準化を図ると同時に、その団体におきましては、二、三カ年にわたる事業計画を立てて円滑な事業を行うことができる、あるいは工夫をすることができるということで、外部団体に基金を設けているわけですが、この基金の管理につきましては、各団体において他の事業と区分をして経理をする、これをきちっとやる予定でございます。それから、積立基金を今度取り崩す場合は、当然その団体で理事会等があって予算の審議等があって、そこでも審議をされるわけですけども、我々も団体から、どういう事業計画を立てようとしてるのか、あるいは立てた計画はどういうふうに進行しているのか、よくチェックをするということを考えておりますし、事業の実施結果についても報告をちゃんと求めてまいります。また、基金を取り崩して行うわけですから、事前に議会にはよく説明をして御理解をいただけるように心がけてまいりたいと考えているところであります。  それから、最後になりますが、高速道路等社会基盤整備についてどのような考え方をしておるかという御質問であります。  私は、やはり高速道路などの社会基盤整備というのは産業の振興にとって欠かせない大事なものであるというふうに考えております。やはり島根の発展がおくれてきたのも、大都市との時間的距離が大きかったというのも一つの大きな要因でございますので、この問題に取り組んでいくということは大変重要な課題であると考えているところであります。そのために、島根県が全国の高速道路ネットワークに組み込まれることが重要でありまして、山陰道と尾道松江線の早期完成を目指して頑張っていきたいと思っております。また、生活道路や治水・砂防施設など、あらゆる社会基盤がまだ十分な状況ではありませんので、計画的に整備をしていくということが必要であります。  そういう観点から、今回の補正予算では、高速道路予算につきましては、国に対しまして最大限の前倒しを要望してきたところでございまして、そういう配慮もなされているというふうに思います。  それから、県事業につきましては、厳しい地方財政に配慮して創設をされました幾つかの交付金を最大限に活用しまして、補助、県単とも積極的に上積みをしておるところでございます。社会基盤整備につきましては、今後も国の施策を活用しながら、あらゆる工夫をしながら進めていきたいというふうに考えているところであります。以上であります。 5: ◯議長田原正居) 鳥屋土木部長。  〔鳥屋土木部長登壇〕 6: ◯土木部長(鳥屋均) 今回の補正予算の配分の考え方についてお答えします。  今回の補正予算のうち、土木部所管の公共事業費については、経済対策としてできるだけ効果が上がりますよう、早期に発注できる箇所を中心に配分しております。  その内訳は、県道改良など補助事業に約77億円、道路や港湾など身近な土木施設の設置や維持修繕など県単独事業に約10億円などであります。さらに、公共事業以外でも、民間の建築需要を促すために高齢者向けに既存住宅をバリアフリー化した場合の工事費を助成する事業とか、県東部の水源でございます布部ダムの水質を浄化する事業などを計上しております。また、今後の経済状況や新たな地域のニーズにこたえていくために、新規箇所の調査費として1億円を計上しております。 7: ◯議長田原正居) 藤原教育長。  〔藤原教育長登壇〕 8: ◯教育長藤原義光) 補正予算について御質問ございました。  まず、ハード面の施策としての学校の施設整備についてであります。  未曾有の経済不況の中で、国、地方を通じた経済対策が必要であり、地方にも積極的な対応が求められているというのは、先ほど御意見あったとおりでございます。
     御提案があった学校教育に係ります施設の整備につきましては、県民の生活に直接かかわりがあり、経済対策を実施するに当たりましてその整備を図ることは優先度が高く、大切な視点だと考えております。  また、学校の施設整備の場合、建築工事、電気設備工事、機械設備あるいは給配水、空調、外構、グラウンドの造成など、多くの業種が関係いたしますので、産業としてのすそ野の広い影響を及ぼすものであります。  こうした考え方に立ちまして、平成20年度の2月補正予算でも約11億円の予算措置をいたしました。今議会においても、同様な考え方によりまして措置が必要と考え、学校施設のバリアフリー化事業、校舎等の大規模修繕事業、校舎等の小規模修繕事業、県立学校のアスベスト対策事業など、約5億円の予算をお願いしているところであります。  次に、県立学校の耐震化の状況についてであります。  本年の4月1日時点での耐震化率は、高校が51.3%、特別支援学校が66.7%となっておりまして、全国平均を下回って低位なところにあります。補強工事に当たりましては、耐震診断の結果を踏まえまして、補強の必要がある建物の中から、緊急性や学校の特性を考慮しながら計画的に耐震化を進めておりますが、耐震診断が未実施の建物が76棟、耐震診断は終わっておりますけども補強工事が終わってないものが108棟と多数ありまして、今後も継続的な対応が必要と考えております。  こうした県内の耐震化事業につきましては、構造に関します専門的な知識を有する技術者の確保が十分にできてないという制約がありまして、県及び市町村とも積極的に取り組んではおりますが、なかなかはかどってないというのが現状であります。経済対策に基づく有効な財源もできるだけ活用いたしまして、島根県の建築物の耐震化の改修計画の目標年次でありますところの平成27年度末までには100%の実現を目指してまいりたいと考えております。  次に、学校施設の老朽化やバリアフリー化への取り組みについてであります。  学校の建物の大規模な修繕につきましては、建築後おおむね15年ごとに校舎とか屋内運動場の屋根の防水、外壁の改修、建具の改修などを行っておりまして、総合的にリフレッシュするとともに、必要な小規模の修繕も実施いたしまして、教育環境の向上と建物の耐久性、安全性の維持に努めております。  県立学校のバリアフリー化については、改築時には標準整備としてすべて行うということにしておりますが、既存施設については、けがや障害がある人も利用できる多目的トイレの設置とか段差解消などを計画的な予算執行によって行っております。こうした措置についても、先ほど申し上げましたように、経済対策によりさらに整備水準を向上させるべく、機会をとらえまして加速してまいりたいと考えております。  次に、ソフト事業としての教育関係の取り組みについてであります。  今回の補正予算では、ふるさと交流体験学習事業、読書活動、スポーツ基金造成補助を新たにお願いいたしております。  そのうち、まずふるさと交流体験学習事業についてでありますが、島根県は東西に長く、離島を抱える地理的な環境にありますので、子供たちがみずからの生活圏域を越えて地域を知る機会が少ないのが現状であります。県内に住む子供たちが相互に交流し、ふるさと島根の歴史・文化を幅広く学ぶことは意義深いと思います。このため、東西それぞれの子供たちが島根県内他地域の自然、歴史、文化を広く学び、東西交流やふるさとを愛する心をはぐくむということを目的といたしまして、今回、東西交流や隠岐を会場とする交流体験学習事業を新たに実施いたすことにしたところであります。  次に、読書活動の充実についてであります。  読書活動は、子供たちが豊かな心をはぐくみ、確かな学力を身につけるために非常に重要な役割を果たしておりまして、当初予算で子供読書活動を総合的に推進するための予算を措置をいたしました。今回の補正では、新たに学校図書館をより活性化するために、教員や司書、ボランティアがアドバイザーの参加も得て機能向上に向けて行います取り組みを支援する、そういう事業が1つでありますし、もう一つ、読書活動の優秀な実践を行っております学校図書館の表彰というものを行うことにいたしたいと思っております。こうした事業によって学校図書館がより利用しやすくなり、県内の小中学校における読書活動がより活性化するよう、環境整備や意識の啓発を図っていきたいと考えております。  次に、スポーツ施策の充実についてであります。  今回の補正では、新たに県の体育協会に対しまして基金の造成補助を行いまして、3年にわたりましてスポーツ競技力向上のための選手の県外派遣や競技用の備品の整備のほかに、総合型地域スポーツクラブの活動の支援を行う予算を補助したいということを考えております。こうした基金も活用しながら、スポーツの競技力向上や生涯スポーツの参加機会の拡充が進むことを期待しております。以上でございます。 9: ◯議長田原正居) 細田議員。  〔細田重雄議員登壇、拍手〕 10: ◯細田重雄議員 自由民主党議員連盟の細田重雄でございます。  質問の前に、先日御逝去なさいました前島根県知事の澄田信義氏の御功績に対し、改めて敬意を表する次第でございます。  澄田前知事は、昭和62年4月より5期20年間にわたって島根県政のかじ取りを務めてこられました。昭和62年6月29日、県議会において当選後初の所信表明に立たれたときのことが今でも鮮明に思い出されます。私はそのとき議長席で、若々しい知事のすばらしい所信表明に感銘を受けたものでございます。  20年間にわたる県政の中で澄田氏は、中国自動車道広島浜田線の開通を始めとする高速交通網の整備を精力的に進められ、JR山陰線の高速化、石見空港の開港や高速船レインボーの就航など、県土発展の礎をつくられました。また、宍道湖・中海の淡水化問題という難題に正面から取り組まれ、淡水化中止という決断を行われました。  一方、文化振興につきましても、今春開館10周年を迎えた県立美術館を始め、浜田のアクアス、益田のグラントワ、大田のあすてらす、古代出雲歴史博物館などの整備を進められ、石見銀山遺跡の世界遺産登録への道筋をつけられるなど、力を尽くしてこられました。石見銀山の世界遺産登録が実現した直後、私は前知事を私邸にお訪ねし、長年の御労苦に改めて感謝を申し上げましたが、その折、「本当によかった。溝口知事や皆さんのおかげです。」と言われたあのすがすがしい声とうれしそうな笑顔が今も忘れられません。  その他にも多くの御功績がありますが、私が特に深い感慨とともに思い起こしますのは、平成17年2月定例会で竹島領土権の早期確立を目指し、「竹島の日を定める条例」を議員提案した折のことであります。当時、島根県と韓国の慶尚北道は姉妹提携を結び、相互に交流を深めておりましたが、韓国側の条例への反発は激しく、それまでの本県との交流が砂じんに帰しかねないばかりか、外交問題に発展し、他県にも飛び火する状況の中、澄田氏は「領土問題と地域間交流は別である」という立場を貫かれ、条例の制定を目指す議会に力強い賛同をいただくとともに、みずからも終始真剣にこの問題に取り組まれました。澄田氏の心中には最後まで、日韓両国が領土問題を超え、親善を深める日への希望があったと今も信じてやみません。  澄田県政は、澄田さんの清廉な性格と、県民に約束したことは必ず守り、やり抜くという姿勢に基づいた、実に堂々たる地方政治であったと思います。ここに謹んでお悔やみを申し上げますとともに、心から御冥福をお祈りいたします。  さて、私は、隠岐島前高校、隠岐水産高校の魅力アップに関する一般質問をさせていただきますので、知事及び教育長には前向きな御答弁をお願いいたします。  隠岐地域は、御承知のとおり、雄大な自然、歴史、文化を有し、豊富な水産資源や隠岐牛など、離島特有の地域資源に恵まれています。また、国境の島として、我が国の領域、排他的経済水域の保全等においても極めて重要な存在価値を有しております。しかし、離島であるがゆえに、産業基盤及び生活環境は本土と比較して厳しく、特に近年は公共事業の減少等による雇用の場の不足、医師不足による地域医療の危機など、隠岐地域を取り巻く環境はますます厳しさを増してきております。  こうした状況を踏まえ、我々自由民主党島根県議会議員連盟においては、隠岐地域の経済再生と島民生活の維持確保を図るため、昨年6月に隠岐振興議員懇話会を立ち上げ、隠岐が抱える問題について何度か議論を重ねてまいりました。8月には懇話会のメンバー7名が隠岐に渡り、町村ごとに意見交換会を開催して、各町村長、町村議会の皆さんを始め、農林水産業、商工業の各団体の方々から隠岐の経済、生活に関する現状と課題、さらには具体的要望事項など、直接意見をお伺いいたしました。改めて、観光振興、隠岐航路、医師確保、竹島領土権など多くの課題が山積しており、抜本的な対策が急務であることを痛感したところであります。  これらの課題を解決するため、自民党議員連盟といたしましては、それ以降執行部と協議を行うなど、具体的取り組みについて検討を行ってまいったわけであります。その結果の一つとして、今回6月補正予算で隠岐の島町の玄関口である西郷港ターミナルビルの改修事業が予算化され、今後利用者の利便性が向上し、住民生活、観光開発、観光振興にも大いに寄与するものと期待をいたしているところであります。  こうした中、私が最重要課題の一つとして取り上げたいのが、隠岐島前高校、隠岐水産高校の魅力アップについてであります。  人がその土地で暮らすために真っ先に考える要件は、大人は仕事、子供は教育ではないでしょうか。これらの条件が失われれば、人はその土地を離れてしまい、地域では人口が減少し、そして過疎化、高齢化が加速します。つまり、仕事と教育は地域の存在を左右する極めて重要な要素であります。地域の衰退が危ぶまれると、産業振興といった大人の目線の対策に目が行きがちでございます。確かにそれも大切なことでありますが、長いスパンで考えた場合、子供に目を向けた教育環境の維持向上も並行して取り組んでいかなければなりません。  近年、隠岐4町村ともそれぞれの地域を生かした独自の定住対策を打ち出しており、着実に成果が上がってきております。隠岐にI・J・Uターンされた方々に話を伺いますと、皆さん、教育の場があったからとおっしゃいます。まさに、子供たちの教育環境を整えることは過疎化に歯どめをかけ、一方で定住化を推し進めることになります。現在、隠岐では、少子化により高校の統廃合問題が取りざたされております。島内で少子化が進行しているからには、島外からの入学をふやしていくことを考えなければなりません。  本年2月、県教育委員会から、向こう10年間を展望した県立高等学校再編成基本計画が公表され、それには「魅力と活力がある県立高校づくり」という副題がついております。各高校が核となり、家庭や地域社会が一体となってその学校の魅力を磨き上げれば、高校が光り輝き、未来が開けていくと思います。  知事は就任以来、産業振興を最重要課題として位置づけ、尽力されてきたわけでありますが、これからは教育面の維持充実も必要と考えます。離島や中山間地に存する高校が地域とともに生き残るためには、積極的に地域外からの入学をふやす方策が必要と思います。島根を全国にPRする目玉の一つとして高校教育を大きく取り上げ、全国に向けて積極的に売り込んでいってはと考えますが、知事の所見をお聞かせください。  先ほどの再編成基本計画には、基本的な考え方が盛り込まれているものの、教育を取り巻く環境変化が目まぐるしいことから、高校ごとに具体的な学校像は示されておりません。個別具体の計画については、今後再編等の実施が具体化した高校から逐次策定していくとされており、ある意味では現実的な考え方に基づく計画だとも思います。  この計画の中に「計画期間における主な課題」という項目があり、具体的に4つの視点が記載され、個別の高校名が載っております。現在、隠岐には3つの高校がありますが、このうち隠岐水産高校が専門学科及び総合学科を設置する小規模高校に、隠岐島前高校が普通科を設置する1学年2学級以内の高校に位置づけられ、いずれも近いうちに検討が行われることになっております。  まず、隠岐島前高校についてお尋ねをいたします。  海士、西ノ島、知夫の島前3町村では、こうした厳しい状況下にあったことから、島根県教育長の諮問機関である「魅力と活力ある県立高校づくり検討委員会」の答申が出される前に、関係機関・団体による検討組織を立ち上げられました。そして、島前内は無論のこと、全国からも生徒が集まる高校づくりを目指した構想策定を進められ、本年2月に「隠岐島前高等学校魅力化構想~島内外から生徒が集まる高校づくりに向けて」という提言を取りまとめられました。  それを見ますと、島前にある全中学校と高校の生徒、保護者、教員にアンケートやヒアリングをされており、地域の皆さんの熱い思いがすべからく抽出されているように思います。そして、目標が、島内外から生徒入学数の増加という明確でわかりやすい設定になっており、提案内容も地域とのかかわりを大切にした、より具体的なものになっております。その提案の中には、私が常々考えていることと重なる部分も多々あり、共感を覚えた次第でございます。  隠岐島前高校の再編成に当たっては、何よりも一番に考えなければならないのは、廃校になった場合、家から通える高校がなくなるため、中学生は高校進学と同時に島を出なければならないということであります。島外で暮らすことになると、子供たちの精神的負担や家族の経済的負担が当然発生をいたします。さらには、先ほどのI・J・Uターンによる定住対策も後退することになり、地域の活力低下を招きます。そのためには、隠岐島前高校は守り通さなければなりません。しかし、従来どおりの守る対策では先が見えております。海士町の山内町長がその書籍「離島発 生き残るための十の戦略」で言っておられるように、これからは売り出す対策が必要です。既成概念、既成事実にとらわれず、今までにない斬新かつ大胆な発想が求められています。  そこで、何点かお尋ねをいたします。  離島では、入学時に高校が選択できないため、クラス内での学力差が非常に大きくなり、かつ進学希望が多様化する状況にあります。進路、学力に応じたカリキュラムの編成を組み、教育水準の維持向上や魅力ある高校づくりを図ろうにも、いわゆる標準法により措置される教員数では難しいものがございます。本県のように財政基盤の弱いところでは、標準法で措置されていない教員を増員することは大きな負担となることは承知をいたしておりますが、学校の統廃合による適正規模化が不可能な離島という地理的条件がある島前高校に関して、より柔軟な教員配置はできないものでしょうか、お尋ねをいたします。  隠岐には、雄大な自然、歴史、文化が存在します。大人に限らず、子供たちの希望、要望も多様化しており、情報発信の仕方次第では隠岐の魅力に引かれ、入学を望む者がふえてくると思います。先日の毎日新聞に、大阪の有名進学校に通っていた少年が不登校になり、自宅に引きこもっていたが、インターネットで隠岐島前高校を偶然見つけ、校内に寮もあることから、学校に手紙を書いた。それがきっかけで島前高校への転入学試験を受けて、昨年4月、高校1年からやり直し、頑張っている。そして、今では、卒業しても一度は島に戻り、居場所をくれた恩返しがしたいと語っているという記事がございました。  県のほうでも、今日時点で実現可能な方策を考えておられると思います。御存じのとおり、島前高校は今から半世紀前の昭和33年に国への働きかけを通じて特例を受け、全国で初めて全日制分校になった学校です。このことを2代目の室崎校長は、「僻遠の孤島島前から全国にそののろしを上げ、国の法文を改正させた歴史ある全国唯一の学校である」と表現をされております。また、島前住民の高校教育にかける熱意により、地元負担で校舎を建て、独立を果たしたという事実もあります。島前地域には、地元高校とともに歩もうという理念が深く根づいております。まさに、島前高校は、再編成基本計画の目指すモデル的高校と言っても過言ではありません。島前高校の魅力アップのために現在考えておられる方策があればお聞かせをいただきたいと思います。  次に、隠岐水産高校についてお尋ねをいたします。  島前高校が島前地域にとって不可欠な学校であるのに対し、隠岐水産高校は、隠岐の基幹産業である水産業の担い手を育てるという意味から、隠岐地域全体にとってなくてはならない学校です。しかし、定員に対する充足率が5年間平均で本科で約78%、専攻科で約68%となっており、いずれも定員割れの状態で、島前高校と同様に生徒入学数の増加が求められ、そのためには魅力づくりをしていかなければなりません。  そこで、私なりに隠岐水産高校の特徴について調べてみました。全国には水産関係の高校が39都道府県に42校があり、そのうち専攻科があるのが隠岐水産を含めて27校であります。一方、隠岐のように離島に存在するのは、東京都の大島海洋国際高等学校、沖縄県の宮古総合実業高等学校の2校で、この2校には専攻科がありません。つまり、離島で専攻科があるのは隠岐水産高校だけであります。  次に、水産練習船についてであります。昨年10月の「わかしまね」の衝突沈没事故を受け、本年1月から水産教育のあり方に関する検討委員会が設置され、今後の水産練習船の建造問題が議論をされておりますが、先日その提言(案)が公表されました。仮に提言(案)どおりに物事が進んだとすれば、650トン級の新造大型練習船が建造され、これは全国で5本の指に入る大型水産練習船になります。  3点目は、資格の取得状況についてであります。海技士免許3級の合格者率は、浜田水産高校を含めた県全体で見ると、全国平均の42%を大きく上回り、68%という高い率となっております。また、さらに難しい海技士免許1級、2級の合格者数についても、隠岐水産高校は全国のトップクラスであり、平成19年度のデータでは全国水産学科合格者が1級で2名いますが、その2名とも隠岐水産の生徒であります。  この他にも多くの特徴、セールスポイントがあると思いますが、こうした利点をもっと魅力アップし、全国に向けて積極的にアピールしていけば、県外からの入学生が今以上にふえてくると思います。過去5年間でその数字を見ますと、県外からの入学者割合は本科で9.9%、専攻科で29.4%となっております。具体的には、平成19年度、20年度の2年間の県外入学者はそれぞれ6名で、その内訳は、大阪からが6名、長野が2名、兵庫が2名、千葉、岡山が1名となっております。  県では、こうした県外入学者の入学動機等を把握されていると思います。彼らはどんなきっかけで隠岐水産を希望し入学してきたのか、それをどう分析されているか、お尋ねをいたします。  今後、隠岐水産高校の再編成に当たって、県立高等学校再編成基本計画及び水産教育のあり方に関する検討委員会の提言に基づき、活発な議論が展開されることになります。私は、隠岐水産高校の魅力、存在感、実績等を今以上に高め、日本における水産教育の拠点高校を目指してほしいと思っておりますが、これに関しての所見をお尋ねをいたします。  最後に、離島振興法についてお尋ねをいたします。  離島振興法では、教育分野への具体的な支援策としては、小中学校の施設整備に対して補助率の上乗せ特例がありますが、高校教育に関しては、俗に言う配慮規定があるだけで、実質的な支援は規定されておりません。離島振興法の目的、離島教育の実態を考えると、法律の中に高校教育の支援に関する条文を織り込むべきだと考えております。  知事のリーダーシップのもと、離島に高校を有する他の都道府県と連携して、教員の加配などについて国に積極的に働きかける必要があると思いますが、知事のお考えをお尋ねし、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 11: ◯議長田原正居) 溝口知事。  〔溝口知事登壇〕 12: ◯知事溝口善兵衛) 細田議員の御質問にお答え申し上げます。  隠岐におきます島前高校、水産高校を例にとられまして、島根の高校教育の中でも離島や中山間地域の高校の魅力を増して、それを全国にPRし、そういうところに全国から生徒が来るようなことを考えてはどうかという御趣旨の御質問でございます。私も同感でございます。  海士町で島前高校の先生とか海士町の方とか、あるいはIターンでその取り組みに参加している人などと1度懇談をしたことがありますが、そういう努力をいろいろしておるということを聞きました。  他方、高校の仕事というのが、国と地方の仕事の切り分けの中で県の仕事ということになっているわけでございまして、どうも義務教育等は国の国庫負担があって、標準法があって、それでかなり住民の人口の少ないとこでも小規模校というのが維持されるような仕組みになってるわけでございますけども、高校の場合はなかなかそれが難しい状況になっているようでございます。それは1つは私立学校との関係もあるようでございますが、いずれにしてもそういう問題があると思います。  しかし、いろいろ高校の統廃合等の問題に私も関与すると申しますか、陳情を受けたり、いろんなお話をお伺いしたり、あるいは各地で海士町における努力のようなことを見ますと、高校というのは単に学問の場ではないと、それだけではない、もっと広い意味合いを持っているということにだんだん気づくようになっておるわけでございます。高校の存在が、やはりそこに生徒が集まってくる。そのこと自体が若者が町を歩くわけですから、活動するわけですから、やっぱり町に元気を与えますし、それから先生というのがそこにたくさんおられる。学校でいろんな行事が行われる。そういうことがございますし、それから都市からそういう魅力ある高校に来るというようなことになりますと、またそれは大きな意味を持つもんでございます。定住としての意味も持つもんでございまして。したがいまして、単に教育という観点からじゃなくて、あるいは高校教育という観点からじゃなくて、地域政策と申しますか、あるいはそのまちづくりの一つとして考えなきゃいかん要素があるということを感じておるわけでございます。  そういう意味におきまして、本年2月にも隠岐島前3町村から隠岐島前高校の魅力化の構想のお話を私も直接お伺いいたしました。大変いい試みだと思っているところでございまして、私どももそういう試みを支援をしていかなければならないと考えておるわけでございます。  それから、議員もお触れになりましたが、海士町、隠岐の島には都市から子供さんを連れたIターンの方がたくさんおられます。そういう方々とも話をしたことがあるんですが、なぜ選んだかという一つに、高校があるということを言っておられる方がおられましたね。少なくとも、小学校、中学校は当然義務教育だからあります。高校までその地で育てられれば非常に子育てがしやすいわけでありますし、自然の中で暮らせる。そういうとこで育てたいという都市の方も多いわけであります。そういう意味におきまして、高校というのが離島、中山間地域においても特別な意味を持つなというふうな感じを私も持っているわけでございます。そういう意味におきまして、県外からも生徒が入学してくるような学科や部活動を有する特色ある学校づくりを進めてもらいたいと思いますし、県もできる支援をしたいというふうに思うわけでございます。そういうことを県外にPRをしていくということが離島・中山間地域対策、いわば過疎法に関連するわけですけども、そういうものとしても大きな意味合いを持ち得るというふうに考えておるわけでございます。  そこで、国への働きかけの問題でありますが、離島振興法による離島を有するのは25都道府県でありまして、高校がありますのは島根県を含めまして9都道県であります。そのうち、1学年1学級の本校や分校がありますのは7都道府県でございます。こういうところと協調していくやっていく必要がございますが、先ほど申し上げましたように、高校は標準法がありますけども、財源の手当てとか教員の確保というのはみんな県の仕事になってるわけですね。義務教のように標準法があって、それに対して国庫負担幾ら、ほいで県の裏負担分は交付税でちゃんと見るということになると一定の財源確保ができるわけです。そこで、小規模校の維持なんかがいろいろ行われている。高校はそれがないわけでございます。そこで、そのためには標準法を変えるというのも一つの手でありますけども、なかなかこれは県の仕事ですから難しいというふうに考えられます。  したがいまして、各県でそういう財源が確保できるような仕組みを国にお願いをするというのが一つの考えでありまして、それの中では、今過疎法の改定を新規立法をお願いしてるわけですが、そういう中でソフト事業ですね、産業振興でありますとか、あるいは交通の確保とか、そういう中に高校といったようなものも対象として考えられるんじゃないかというふうに思うところでございまして、過疎法の中で基金を創設すると、その基金でソフト事業をできるようにする。そのソフト事業の中に高校などに、例えば特別の講師を雇うとか、あるいは魅力のあるカリキュラムをするための経費を賄うようなことができればかなり自由度がふえるわけでございます。そういう提案も内々は意見交換などをしながらやっているわけでございますが、さらに議会の皆さんとも一緒になりましてそういう問題にも取り組んでまいりたいと思っているところであります。 13: ◯議長田原正居) 藤原教育長。  〔藤原教育長登壇〕 14: ◯教育長藤原義光) まず、島前高校の教員の配置について弾力的にできないかということであります。  先ほど知事のほうからも申し上げましたが、高校の教員定数は標準法によって算定されておりまして、基本的にはそれはクラス数がベースになっておりますので、1学級しかないところには1学級分の教員数、2学級になりますと2学級に応じた教員数ということが確保できるということになっておりまして、こうして算定されました教員数に応じた財源が交付税の中で国によって措置されておるという状況になります。さらに、プラスの部分では、従来からそれに加えまして、少人数の指導を行うための国の制度がありまして、それを利用しまして、通常の定数に加えて教員を加配するなど、教員水準の確保に努めてまいりましたけども、1学年2学級がありましたのが1学級になりました関係で、いわば途端に教員の数が減っていくというのが現在の状況でございます。  そういう中にありまして、島前高校についても通常の定数に加えて加配を行っておりますが、現状は十分ではないというふうに認識しております。特に少人数ではありましても、進路は進学と就職とある、あるいは進学の中でも理科系と文科系があるというふうに多様な進路に応じないかんということでありまして、そうした生徒の進路希望に対応した教員の配置ということになかなかなってないというのが現状でございまして、できるだけ教員のそういう配置に努力したいと考えております。  また、そうした教員の配置定数については、通常の定数に加えて教員の数が確保できるよう、ポスト過疎法に盛り込まれることなど、国に対して働きかけてまいりたいと考えております。  次に、島前高校の魅力アップについてであります。  御紹介ございましたように、島前の3町村、PTA、中学や高校などから成ります「魅力化と永久の発展の会」の名称の会によりまして、島内外から生徒が集まる魅力ある高校づくりを目指す魅力化構想の提言を受けました。この中には、既にふるさと雇用特別交付金を活用した学習支援コーディネーターの配置でありますとか、高校生がことしから始まります観光甲子園というイベントへの参加を決定するなど、既に具体的な取り組みが進められたものもあります。また、学校、地域、教育委員会が連携して進めるべきそのほかにもさまざまな具体案が盛り込まれております。  私も先日、海士町で開かれましたシンポジウム・イン・島前ということで、島前高校を考えるシンポジウムに参加いたしまして、提言についてできる限り実現に向けて努力していきたいというふうにお答えをいたしました。その提言の中には、寮の活用でありますとか、インターネットを活用した学習でありますとかというふうなものも具体的に盛り込まれておりますので、こうしたことも検討しながら、来年度の入学から島外からも生徒を呼べるような具体的な方策を考えてまいりたいと考えております。  それから、隠岐水産高校に関する御質問がございました。  隠岐水産高校への県外入学者については、この3年間毎年6名の生徒が入学いたしております。これらの出身県については、先ほども御紹介がありましたように、水産高校がないと、あるいは水産高校があっても専攻科がないというふうなところから生徒が来ております。  入学の動機につきましては、隠岐という土地の持つ魅力が大きいものと考えております。離島の雰囲気や、周囲を海に囲まれて豊かな自然があるということだと思っております。また、専攻科があり、海技士の資格取得率が高い。寄宿舎の設備が充実してるということを知りまして入学を希望する生徒、保護者が大部分であるというふうに理解しております。  次に、隠岐水産高校の今後目指すものについてであります。  隠岐水産高校は現在、3年制の普通科と2年制の専攻科がありまして、本科には海洋システム科と海洋生産科を持っております。海洋システム科では、とる漁業や船舶の機関、船の操作、操船について、それから海洋生産科では、つくり育てる漁業、水産加工などについての基礎的な知識、技術の指導を行っております。  また、担い手育成の観点からは、地元の漁業者の指導によりまして、一本釣りの漁業の実習でありますとか、種苗センターでのワカメやカキなどの養殖実習など、地域産業と連携した教育も実践しております。  専攻科では、船舶の幹部職員になるために必要な3級海技士の資格取得を目的にしております。多くの生徒が3級海技士の資格を取得しておりますし、中には、これまた紹介ありました、さらに上級の資格を取得する生徒がおりまして、全国に誇れる実績、毎年全国各地に幹部の職員を輩出しております。  こうした中にありまして、水産教育のあり方に関する検討委員会で現在検討いただいておりますが、3本の柱で検討をいただいておりまして、提言の骨子にもつながりますが、1つが、水産高校を水産県島根の資源(宝)と位置づける。2つ目が、全国から生徒の集まる水産高校に。3つ目が、水産高校と水産業、水産行政との連携の強化ということを骨子といたしまして、現在提言の最終的な検討をしていただいております。今後、これらの提言を得た後には、基本的なこうした提言をもとにいたしまして、全国から生徒が集まる水産高校を目指していきたいと考えております。以上でございます。 15: ◯議長田原正居) この際しばらく休憩し、午後1時から再開いたします。        午前11時39分休憩        午後1時3分再開 16: ◯副議長(上代義郎) それでは、会議を再開いたします。  引き続いて、一般質問を行います。  石橋議員。  〔石橋富二雄議員登壇、拍手〕 17: ◯石橋富二雄議員 民主県民クラブの石橋富二雄でございます。一般質問いたしますので、知事を始め関係部長の真摯な答弁を求めるものであります。  先日、澄田信義前知事が御逝去されました。民主県民クラブを代表いたしまして哀悼の意を表したいと存じます。  澄田知事とは、私の1期、2期目、知事の4期、5期目でございましたが、全定例会におきまして私も連続32回の質問をさせていただきまして、知事との数々の質問戦を思い出すところでございます。心から御冥福をお祈り申し上げます。  さて、最初に、国会議員の世襲制について知事の御所見を伺いたいと存じます。  先月、大型連休明けの5月11日、民主党の小沢代表が突然辞任を表明され、国会内に激震が走ったところであります。小沢代表の辞任を受けまして、民主党は去る5月17日、日一日と迫る解散総選挙に臨むに当たって、鳩山由起夫代表、岡田幹事長体制で最強、絶妙の布陣でスタートしたところでございます。  鳩山新代表に求められていますものは、選挙に勝って政権奪取するために国民をどう引きつけていくのか、どう期待をしてもらえるのかがかぎだと思う次第であります。  先週、麻生総理との2回目の党首討論が行われましたが、現今の厳しい格差社会の中にあって、人の命を大切にする政治を力説をする姿に安定感、信頼感が出てきたのではないかと思う国民の皆様も多くなってきたように思われます。  共同通信社が6月の13、14の両日に実施いたしました緊急世論調査によりますと、麻生内閣の支持率が17.5%と、3カ月ぶりに10%台を記録をし、再び危険水域に突入をいたしました。5月より8.7ポイントの急落で、不支持率は10.4ポイントの増の70.6%となり、また支持しないという理由では、「首相に指導力がない」23.0%、「首相が信頼できない」13.9%などが上位を占めております。政党支持率もじり貧状態で、民主党の38.5%に対し自民党は19.8%となり、これは宮沢政権時代以来最低の支持率のようであります。
     このような調査結果となったのは、首相の盟友でありました鳩山前総務大臣の辞任など、日本郵政の西川社長の進退問題をめぐる迷走劇や厚生労働省の分割再編問題、世襲制限の先送りなど、首相の指導力に対する疑問が強まったからではないでしょうか。  さて、衆議院議員の任期は9月10日までの70日余り、いよいよ政権交代をかけた世紀の一大決戦の火ぶたが切って落とされるわけであります。地方に吹き荒れる不平等、格差、地域経済の疲弊の連鎖の渦はすさまじい中にあって、国民の政治不信を打開するための総選挙の争点といたしましては、消費税問題、企業・団体献金禁止、景気浮揚対策に次いで世襲制限問題も大きな争点の一つとなってきました。安倍元首相、福田前首相が1年で政権を投げ出したことなどから、特に世襲制に対する世論の批判が強くなっているのであります。  能力のある者が出自を理由に天与の才能を発揮する場を与えられないとするならば、それは本人にとっても社会全体にとっても大きな不利益となるのであります。しかしながら、民主主義政治における最大の権力代行者である国会議員という職責の世襲が、封建時代でもあるまいし、今日なおまかり通っているのであります。政治は、歌舞伎や華道、茶道のような伝統芸ではなく、政治は私有物にあらず、家業にあらずであります。  親族の三バン、すなわち地盤-後援会組織、看板-知名度、かばん-資金力を受け継ぐ衆議院議員は現在4人に1人、自民党では303人中、実に3分の1を超える107人に達しています。内閣を見ましても、麻生首相を始め閣僚16人中10人が3親等以内に国会議員経験者がいる世襲議員なのであります。  現行選挙制度は、小選挙区制で1人しか当選ができないため、世襲候補はますます有利になるのであります。このため、在野の能力ある者が国政の場に出るチャンスを閉ざされ、結果的にはこの国の政治のレベルの低下、劣化を招いていることになるのであります。よい政治は、よい人材が結集されて初めて実現をされます。そして、よい人材を集めるためには、その選抜方法が徹底して公平、平等でなければなりません。議会制民主主義の根幹をなす選挙が公平になされるように、公職選挙法では地位利用による選挙運動禁止、飲食物の提供禁止、選挙費用制約など、金を持っている者が金にあかせて有利にならないように各種の細かい制約を設けているのであります。  一方で、世襲に制限しなければどうなるのかでありますが、世襲の候補者は親や祖父母が長年にわたって名前を売り込み当選をしてきた盤石の地盤を継承し、親が子にかわって延々と事前運動を展開しているようなもので、世襲と非世襲では戦う前から圧倒的な差がついてしまっているのであります。  世襲を擁護する人たちは、世襲議員にも優秀でよい政治をする人間がいると主張されます。それはそのとおりでありますが、世襲議員よりもさらに優秀な人材の政治への道を閉ざしていることに気づいていないのであります。また、世襲のよしあしは有権者が決定をするべきであるという意見もあります。これも一見正しいように思えますが、選挙制度が世襲制側に圧倒的に有利な状態にあることを忘れてはならないのであります。格差社会の中で、不公平・不公正感がうっせきしている国民には、国会議員の世襲制が果たして公平な選挙と呼べるのかどうか、疑問に思えるのであります。  このような不公平を「こんな取るに足らないことをあたかも大ごとのように取り上げる政治家も政治家だが、マスコミもマスコミだ」と言い放った大物世襲議員もいましたが、開き直りも甚だしいと思うのであります。  そこで、国会議員の世襲制限問題についてどのようなお考えなのか、知事の御所見を伺うものであります。  次に、経済対策について伺います。  13兆9,300億円の一般会計補正予算成立と同じ日に、政府から最悪と言える経済データが相次いで発表をされました。  4月の有効求人倍率は過去最低の0.46倍まで落ち込み、完全失業率はついに5.0%に達しました。完全失業者数は前年同月比71万人増の346万人で、増加幅は過去最大、本県の総人口に匹敵する人数であります。特に若者の失業率は高くて、15歳から24歳までで9.6%、25歳から34歳までが6.1%であり、深刻な状況なのであります。  4月の家計調査も、消費支出が前年同月比1.3%減少し、過去最長の14カ月連続のマイナスであります。  また、11年連続して3万人を超えている自殺者が4月には3,027人となり、毎日100人が自殺している計算であります。就職失敗、失業、生活苦、借金、心の病など、複数の要因を抱えてみずからの命を絶たれるわけでありますが、地球上にこんな国はありません。  さらには、家庭の経済的要因などで国公立、私立の大学、短大、高専学生の授業料滞納者が1万5,000人、中途退学者が7,715人にもなっているのであります。  このような厳しい現実の国民生活の中にあって、政府は5月の月例経済報告で景気判断を上方修正し、与謝野経済財政相は、「直観的には1から3月が最悪の時期で、これからは若干明るい兆候が見え始めた」と、のうてんきな楽観論をぶち上げていましたが、果たしてそんな状況なのでしょうか。  現代経済が専門の明治大学の高木教授によりますと、「1-3月のGDPがマイナス15.2%と戦後最悪に落ち込み、その後の経済指標も軒並み最悪水準です。4月の消費支出もマイナス、5月の新車販売の落ち込みは、景気対策の目玉であった定額給付金やエコカー減税の効果は全く出ていないことを示しています。麻生政権は、08年度予算の第1次、第2次の補正、09年度の予算と今回の補正合わせて4段ロケットのつもりなのでしょうが、一連の景気対策が単なる選挙目当てのばらまきでしかなく、効果がないことがはっきりしました。それなのに、最悪期を脱したなんていいかげん過ぎますよ」と、厳しい評価なのであります。  100年に1回の不況対策として、景気回復あるいは経済活動活性化に連動させようと巨額の予算を組んだものの、まるで効果が見えず、経済対策についての国民の評価は至って低いのであります。  政府は6月の月例経済報告で、事実上の「景気底打ち宣言」をいたしましたが、生活実感とは大きな隔たりを感じるところであります。果たして景気は底を打ったと見るべきなのか、景気対策予算の効果が出てきているのか、現下の経済状況についてどのような判断をなされているのか、知事の御所見を伺うものであります。  また、マスコミが最近発表いたしました山陰両県の主要企業緊急景気アンケートによりますと、山陰経済が底を打ったかについて、「思わない」と答えた割合が73.7%にも上り、依然として厳しい景況にあるように思います。  知事は、県内経済状況についてどのように分析されているのか、伺うものであります。  次に、今回の補正予算について伺います。  財務省は先月、08年度末の国の債務残高は、国債が680兆円、借入金58兆円、一時的な資金不足を補う政府短期証券108兆円で、合計846兆円であると発表いたしました。また、09年度末には、企業業績悪化などによる税収減や景気対策のための大規模な財政出動が響き、924兆円と、900兆円を突破する見通しを示しているのであります。  借金をしてまで力を入れている経済対策は有効に活用し、かつ効果が出なければなりません。本県の経済対策としては、既に昨年度2月補正で124億円、新年度予算で83億円、そして今回の補正で454億円という過去最大の景気対策補正予算を提案されております。  この中で、社会基盤や生活基盤整備に129億円、医療、福祉の充実に45億円など、さまざまな緊急政策課題に対応した事業に合わせて平成21年度事業費230億円を投資されますが、この巨額の投資による景気・経済効果について、いつ、どの程度の規模であらわれると考えていらっしゃいますか、伺うものであります。  今回の補正では、事業期間を平成21年から23年度とする基金積み立て目的の国庫補助事業に195億円が交付されます。各事業とも、基金の積み増しや基金の造成に充てる計画でありますが、事業期間内にすべて事業化、支出できるのか、残余の基金についての会計処理はどうなるのか、伺うものであります。  また、県では、地域活性化・経済危機対策臨時交付金103億円の一部を活用して島根県観光連盟に3億6,000万円、島根県木材協会1億9,000万円や石州瓦工業組合1億8,000万円など、9つの外部団体に基金を造成して、単年度ではなく平成22年、23年度で継続的に事業展開することになっています。  私は、基金を活用して地域の経済対策を積極的に実施することに異論を挟むものではありませんが、基金の造成、管理について3点伺うものであります。  1つは、基金管理を担当部局がしないで外部団体に基金造成することになっておりますけれども、その理由はどこにありますか、伺います。  また、各年度の事業計画、事業報告など基金のチェックは、いつ、どこで、だれがやるのですか。  もう一つは、平成23年度までに支出できなかった基金の残額について、どのように処理されますか、伺うものであります。  次に、汽水湖中海の将来ビジョンについて伺います。  去る5月30日、中海水門撤去・森山堤防開削工事が完成し、28年ぶりに森山堤防内外の船舶の往来が可能になりました。小型船に乗って森山架橋の下をくぐったとき、淡水化反対運動に携わってきました者の一人といたしまして、感慨ひとしお、数々の過去の出来事が脳裏に浮かんだところであります。  国営中海土地改良事業は、昭和38年、昭和のくにびきとして食糧増産を目的に事業着手されました。昭和49年、中浦水門完成、昭和56年、森山堤防完成、そして直後の昭和57年に中浦水門閉め切り試行計画に対して、水質悪化を懸念する住民運動が安来からわき起こったところであります。以来、本事業は、中海・宍道湖淡水化計画中止に向けて揺れ動いてまいりました。  そして、幾多の変遷を経て、平成14年12月、島根・鳥取両県知事が淡水化中止を表明、農水省も中止を決定。国内で初めてのケースでありますが、動き出したらとまらないとする大型公共事業が中止となったのであります。昭和57年に住民運動が始まってから20年目のことで、あの日の感激は忘れることができません。  その後、中浦水門撤去、森山堤防開削、架橋建設工事が順調に進んで、過日農水大臣や島根・鳥取両県知事ら関係者が出席し、完成報告会を迎えたのであります。  中海淡水化中止に至る経過については紆余曲折があり、関係者それぞれに感慨深いものがありますが、農水省、島根・鳥取両県関係者などとともに、一隻の小型船で初めて森山堤防を通り初めされたときの知事の御所見を伺うものであります。  現在、中海における水質改善対策といたしまして、公共下水道や農村集落排水事業、合併浄化槽整備など、中海へ流入する汚水の浄化対策はかなり進んできております。  そこで、中海におけるCOD、窒素、燐の水質測定値の近年の傾向と今後の水質浄化対策について伺うものであります。  かつて水揚げ日本一を誇った中海の特産サルボウガイ地元ではアカガイと呼んでおりますがの産地でありました中海は、今では漁獲量は見る影もありません。しかし、森山堤防の開削によって、日本海のきれいな海水が流入することによって魚介類の宝庫に変身させるチャンスでもあります。  仄聞するところによりますと、堤防開削潮通し効果によって、島根大学と島根県水産技術センターの調査研究ではサルボウガイの再生に展望が見出せるとのことのようでありますが、現況をお聞かせください。  また、水産資源再生に向けての将来ビジョンについても伺うものであります。  最後に、国直轄事業負担金制度について伺います。  国が計画、実施する道路やダムなどの建設費や維持管理費の一定割合を地方が負担をする国直轄事業負担金制度について批判が高まっております。事業決定に十分関与できぬまま負担を強いられている制度に地方側の不満は強く、地方分権を目指す全国知事会から負担金のあり方について見直しを求める声が強まってきているところでもあります。国の地方合同庁舎の建設費や職員給与費まで地方に負担させていた不透明な実態が発覚を受けて、国土交通省など中央省庁側も見直しをしようとしています。しかし、地方側の利益を考えれば合理的な制度だとして、制度そのものの廃止には抵抗の姿を崩しておらず、また全国の知事の間でも温度差があるところであります。  そこで、4点伺います。  1点目は、直轄道路などの維持管理費についてであります。  政府の地方分権推進委員会は、地方負担金のうち直轄国道などの維持管理費について廃止を提言しているところでありますが、本県はどのように考えているのか、知事の見解を伺うものであります。  2点目は、負担金制度の見直しについてであります。  金子国土交通相が同省出先機関の職員退職手当や共済年金分の負担金廃止を表明したことについて、どのように評価をされますか、伺うものであります。  また、国道事務所や職員宿舎建設に充てる営繕宿舎費と研究機関や国出先機関管理職の人件費に関する地方負担金について、知事はどのような御見解なのか伺うものであります。  3点目は、県事業における市町村負担金制度についてであります。  県が実施主体の事業について、これまでは市町村側にも受益があるとして負担金を請求してきていますが、市町村負担金について今後はどのような方針で臨もうとされているのか、伺うものであります。  4点目は、直轄負担金議論と地方分権改革についてであります。  今春から急に盛り上がってきました直轄負担金の議論は、単なる地方財源の問題としてだけではなく、行政改革の視点、国と地方の関係、今後の政治・行政システムのあり方を考える上で重要な意味を持つものだと思います。  行政改革の視点から見れば、国直轄事業は、まず国の事業計画策定に住民や自治体が関与していないこと、地方がかなりの負担金を出すのに、詳細が示されないため、便益、効率について地方議会のチェックが働かないことが問題なのであると思います。  地方にどういうものをつくるかは、受益と負担を実感をする住民や地方が決めたほうが効率的であります。国の出先機関がみずからの基準で施設をつくり、その負担を自治体に要求する現行の制度は、住民が求めているのではなく、出先機関が必要とする施設をつくりかねず、地方、住民は混迷するのであります。  国は、国道などの維持管理は地方に任せて、高速道路の整備といった全国的な社会基盤整備を急ぐべきであり、その企画立案などに絞るべきではないでしょうか。そして、出先機関の人員、予算、権限を一括して地方自治体に移譲すれば、より効率的になるし、議会による事業効果のチェックも強化されるのであります。  国直轄事業負担金問題の解決に当たっては、地方分権を見据えた議論も必要ではないかと考えますが、直轄事業負担金について知事の基本的な考え方を伺うものであります。  以上で私の質問を終わります。御清聴どうもありがとうございました。(拍手) 18: ◯副議長(上代義郎) 溝口知事。  〔溝口知事登壇〕 19: ◯知事溝口善兵衛) 石橋議員の御質問にお答え申し上げます。  最初は、国会議員の世襲制限問題についてどう考えているかという御質問でございます。  世襲の定義については、いろいろあるんだろうと思いますが、石橋議員のお話ですと、近い親族のいわゆる三バンを受け継いで衆議院議員になっておられる方が4人に1人だというお話がありました。また、内閣では、閣僚16人中10人が3親等以内に国会議員経験者がいるというお話がございました。これが多いのかどうかについてはいろいろ議論があり得ると思います。人によっていろいろ違う、決め手がないのが現状ではないかというのが一つの感想でございます。  それから、仮にこの制限をするというようなことになれば、御指摘にもありましたが、出自による差別でありますとか、職業選択の自由に侵害をしないかという意見があるというお話もございました。そういう意見もそれはあるところだろうと思うわけでございます。  したがって、個人的に思いますに、今一刀両断の結論を出すということは非常に難しい状況にあるんだろうというのが総合的な感想でございますが、私自身、長く国の行政官として働きまして、国会議員の方、これは与野党問わずでありますが、あるいは大臣、総理等々の方々、あるいは党の役員の方々とも近くで接する機会などもあったわけでございますけども、個人的な経験からしますと、世襲されてるかどうかというようなことは余り意識の中にはないわけでございまして、通常やはりその人個人がどういう人か、あるいはどういうお考えをお持ちだとか、どういう働きをされるかというようなことが強い印象としてあるわけでありまして、そういうものがやっぱり人を評価するときの最も大きな要素ではないかと、私自身は感じておるところでございます。  他方で、国会議員は有権者の代理として国政で重要な役割を演ずるわけでございます。また、国会議員の多くの方々は一定の政党に所属をされて、政党の一員として活動されるわけでありますから、政党が政権を担っていくとか、あるいは選挙に勝つということになれば、やはり選挙民が選ばれるような候補者を出していかなきゃいけないわけでありますし、出していけなくなると、それは選挙で敗北というようなことになるわけでございますから、やはり政党自身の問題として、政党が選挙民に訴える政策の一つとしてこの問題はやはりまず政治の場では取り扱っていかざるを得ないんだろうというような気がするわけでございまして、そういう中でこの問題がおのずと解決をしていくんではないかと、落ちついていくんではないかというふうに思います。それがどういうふうになるかは、やはり選挙民あるいは選挙の状況次第だろうというふうに思うところであります。  それから次に、現下の経済状況について御質問ございました。  景気は底を打ったと見るべきなのかどうか、あるいは景気対策予算の効果は出ているのかどうかといったことでございますが、昨年の秋以降、世界的に金融危機の影響が出まして、まず起こったことは、やはり急激に製造業を中心にして、自動車、電子産業などでありますけども、先行き売れ行きが落ちるだろうということで、先行きを見越して在庫を縮小しなきゃいかん。そうすると、物が売れないわけですから生産をどんどん削減をしていかなきゃいかん。そうすると、雇用も減らさなきゃいかんという事態が物すごい勢いで起こったわけでありまして、これは過去に経験をしたことのないような急激な動きだったわけですね。それはそういう意味では非常に異常な事態だったと思うんですね。それが、1-3月ぐらいまでずっと続いたと。我々も、その勢いがさらに続くのかという思いもありましたけれども、ある程度過剰な在庫が処分をされていきますと、今度は売り上げに応じて生産もふえてくる、雇用もそう減らないという事態になった。それが最近のことじゃないかというふうに見てるわけです。その部分をとらえまして景気は底を打ったというのが一つの見方としてあるわけでしょう。  しかし、それは非常に数十%という生産の下落があったわけですから、そこでちょっと反転しても景気がよくなるとかっていうことにはまだならないわけであります。多分、現在の状況では、多くの製造業で対前年比で生産などが七、八割ぐらいの感じじゃないかと思います。後で申し上げますが、県内でもそういう御意見の方が多かったわけでありますけども。七、八十%ということは、まだ二、三十%の低レベルで生産、雇用が続くわけでございますから、これは大変なわけでございます。  そういう意味で、本格的な景気回復、過去の水準を抜いてさらに拡大をしていくというのはいつになるかはまだはっきりはしないと。しかし、予想よりも早くそういう底打ちが起こったんで、景気の回復が少し早くなるんじゃないかという明るい兆しが出ているのは事実だと思います。それを反映して株価なども上がっているわけでございますが、まだまだ先行きは不透明、はっきりしないという見方が大勢だと思います。  したがいまして、我々も景気の情勢をよく見まして、国に対しても必要な対策をさらにお願いをするとか、あるいは県自身も考えていくということを念頭に置いて、状況を注意深く見ていく必要があると考えているところであります。  そこで、県内の経済状況でありますが、県も4月下旬から6月上旬にかけまして、県内106社を対象にしまして緊急の調査を行っております。2月から4月の売り上げが減少した企業は、106社のうち81社というようなことでございまして、ほとんどの企業がそういう影響を受けたわけでございます。それから、今期の売上高が減少する見込みであるとか、見通しが立たないとする企業は8割ぐらいあったわけでございまして、やはり景気の現状そのものは非常によくないわけでございます。  それから、6月8日には県内の進出企業を中心としました主要製造業の代表の方々とも意見交換をいたしました。大体今申し上げたような感じでございました。そういう企業は大企業でありまして、コンデンサーを輸出するとか、太陽電池をつくるとか、大企業としてのこれまでの回復パターンと似ているわけでございます。かなり生産は回復してきたけども、先行きはまだ不透明であって、本格的な雇用をふやす状況にはまだないといったようなことでございました。  それから、議員が引用されました山陰の企業の調査でございますが、280社程度を対象にして鳥取、島根の主要企業に調査をされたわけでございます。地元紙でありますけども。それを見ますと、山陰において景気回復をしたのかという問いに対して、「そう思わない」というのが約73%ぐらいあったということであります。じゃあ、全国はどうかという、全国の企業は回復したのかという問いに対しては、そういう方々は56%ぐらいが「そうは思わない」。全国のほうが「思わない」という比率は山陰の企業よりも、同じ人が答えてるわけですけども、低いわけでございまして、それから見ますと、やはり地方には景気回復の感じがやはりおくれてきてるなということを私どもも認識をしているわけでございます。そういうこともありまして、国の対応に応じまして私どもも景気対策を講じているわけでございます。  そこで、その効果はどうかという御質問でございましたが、2月の議会におきまして2月補正と本年度の当初予算を提出いたしまして、大体207億円ぐらいの特別な対策を打ったわけでございます。ほとんどが事業を行うと、県が支出をするということで、需要の創出につながるもんでございますが。それから、今度の、今御審議いただいております6月補正におきましては、454億円の補正の規模に対しまして21年度の事業費が230億円でございます。したがいまして、2月議会での207億円と今議会での対策230億円を合わせますと437億円のいわば需要の追加ということに、大ざっぱに言えばですね、なるわけでございます。それは島根県のGDPが2兆5,000億円弱でございますから、大体1.8%ぐらいに相当するわけでございます。この事業が進捗し、支出が出ていけば、それに応じて、多分1年ぐらいの間にGDPを1.8%ぐらい引き上げる要素になるだろうと。  県の予算はそうでございますが、市町村にも交付金というのが行っておるわけでございます。大体2月と今回合わせて県内の市町村に180億円ぐらい行っております。それから、いろいろ議論がありましたが、県民あるいは消費者に直接配られた特例給付金が115億円ぐらいあります。したがって、県以外でも180億円と115億円、合わせて約300億円ぐらいの需要の追加があるわけでございまして、そういうものも合わせますと相当の効果があると。これは効果がないわけじゃありませんで、それを使えばその分だけ人々の所得になるわけでありますから、あるわけでございます。それが持続するかという議論はありますが、景気対策としてはやっぱりそういうものを着実にやっていくということが一番大事なことではないかと考えているところであります。  それから、次の質問といたしまして、中浦水門撤去、森山堤防開削完成に関連いたしまして御質問がございました。  中海土地改良事業が着手をされまして、幾多の紆余曲折を経まして、今般森山堤防開削の完成に至ったわけでございますが、議員御指摘のように、多くの方々がこれに関与されてこられ、また開拓事業の中止ということでは大きな政治的な決断が必要だったわけでございます。そういう関係者の御労苦に対しまして思いを、感慨を覚えたということでございます。  特に、御逝去なさいました澄田知事は、鳥取県との調整に大変な御苦労をされたわけでございます。両県知事が合意をし、農林水産省がそうした両県の要望を受けられて今回の開削となった。中海・宍道湖の2つの汽水湖が豊かな自然として我々のもとに残ることになったということでございます。その意味におきまして、漁業の振興に努め、また環境の保護に努めるということは我々の大きな課題だと考えているところであります。  それから、最後に直轄事業負担金について幾つか質問がありまして、まず維持管理負担金についてでありますが、これは知事会などでもほぼ一致をいたしまして、直轄河川、直轄道路等の維持補修は国の判断によって、あるいは国の基準によって行われておりますから、地方が何か口を挟むというような状況にもないわけですから、全額国の負担で行うことが適当ではないかということでまとまっておると思います。これを早く実現しよう、来年度に実現したいというのが知事会のほぼ一致した考えだと私は見ております。  それから、直轄事業の一般の負担金の範囲をどうするかという問題で、国の職員の退職金の部分が入ってるとか、あるいは職員の宿舎整備などの経費が入っておって、そういうものについて詳しい説明がなかったということがあるようでございます。これは過去何十年と続いておったわけでございますけども、やはり国、地方が同列に日本の国家というものの運営に携わるわけですから、そこは両者が対等な関係に立つべきだという考えからしますと、やはり修正を要することだろうということでございまして、直轄事業の負担金につきましては、今度は国から県などが交付を受けます補助事業と似たような範囲で経費負担をしていくのが適当じゃないかと考えているところでございまして、知事会は国交省の説明をよく聞きまして、どういう負担の仕方をしたらよいのかというのを9月前には詰める予定でございまして、それに基づいて国交省と話をするということになっておりますから、適切な対応がとられていくだろうと私も見てるところでございます。  それから、市町村負担金でございます。  県が市町村に対しまして、市町村に通る県道をつくる場合に一定の負担をいただくということがあるわけでございます。これも国との関係と似たような相似形になっておるわけでございますが、これも定型的なものであるということからでしょうか、退職金とかそういうものは、宿舎費とかは入っておりませんけども、細かいところまで市町村に説明をしてこなかったという実態があるようでございまして、今度の新年度の負担金につきまして7月には説明を市町村にする予定でございまして、その際には詳細を説明していく考えでございます。  また、国の直轄事業負担金の見直しに応じまして市町村負担金につきましても、それと相前後して私どもも必要な見直しは行っていく考えであります。  それから、直轄事業負担金と地方分権改革についてのお話がございました。  直轄事業につきましては、やはり現行制度のもとでは、国がどういう事業をどういうふうな形でやるかということについて、地方の意見をよく聞いてほしいと、そういう仕組みをかちっとしてほしいと。近年、そういうものはかなり整備をされておりますけども、それをさらに進めるということではないかと思います。  それから、将来的には国、地方の役割分担を見直す分権の中で、地方へ直轄事業についても権限と財源を適切に移譲した上で、地方が行うものはもう地方に任せてしまう、そういった方向を目指すべきだろうと思います。しかし、直轄事業そのものがなくなるというのはなかなか考えにくいわけですね。やはり道路なんか見ますと、島根県の中で完結するわけじゃありませんから、山陰道ですと山口、それから鳥取、それからほかの道路との連関をどうするかということも考えながら、やっぱり総合的にやっていかなきゃいけませんから、県などを超える、現在ですと国になりますけども、そういうところで判断をしていかざるを得ないだろうというふうに思いますから、直轄事業がなくなるわけではありませんが、地方でやれるものはやっていくと、そういう形でさらに負担金の問題も考えていくということになると思います。  他方で、これまでは国の直轄事業としていろんな道路の整備が都市を中心に行われてきてるわけでございます。河川なども早くから大都市を中心に行われてるわけでございます。そういうところでは整備がかなり進んでおるわけですが、島根などではまだまだおくれているわけでございます。  そこで、そういう状況の中で直轄事業負担金だけを地方が負担しないということになった場合に、地方の負担金で行ってる事業というのはあるわけですね。したがって、その財源がどこかで調達をされると、政府の中で。例えば、その分だけ地方が負担しなくなったから国の税収で手当てしましょうと。そう言っても、国のほうも財源がなければ、国交省の中でそれは手当てをすべきだということになった場合に、国交省の中でも道路の分をほかのとこがやるわけにはいかんだろうというようなことになりますと、道路事業でそういう減少する負担金部分も手当てをしませんと、事業費そのものを減らさないとそういう財源は出てこないということになるわけです。  そういう意味で、いろんな可能性がありますけども、負担金を減らすと事業費全体が減る可能性があります。そうなると、直轄事業がおくれてる島根などはさらに整備がおくれる可能性がありますから、そういう地方の実情もよく見ながら、直轄事業負担金の問題を考えるべきだというのが私どもが言ってるところでございまして、分権とそうした地方の実情両方の要素を考えながらこの問題に当たっていかなければならないというふうに考えているところであります。以上であります。 20: ◯副議長(上代義郎) 加松総務部長。  〔加松総務部長登壇〕 21: ◯総務部長加松正利) 大別2点、お答えいたします。  1点目は、国からの補助金による基金についてであります。  今回計上した国からの補助金による基金積立額につきましては、国から補助金額が示されてるものであったり、あるいは国が示した一定の算定方法によったり、あるいは現時点での施設整備の見込みに基づくなどして積算し、計上しているところでございます。  これら国からの補助金による基金の事業分野でございますけども、介護、福祉、雇用、森林整備など、事業の必要性が高く需要が多い分野であることにかんがみますれば、おおむね事業期間内に執行することは可能であると考えておりまして、関係者とよく協議をしながら事業を進めてまいりたいと考えております。  なお、施設整備などは施設の設置者の都合で計画が変更中止になる可能性があるなど、国が定めた期間経過後に基金に残余が生じることがないとは言えないわけでございますけども、この場合は残余の額を国に返還することになるものと考えておりますが、そういうことのないよう執行に努めてまいりたいと考えております。  次に2点目は、外部団体への基金についてでございます。  外部団体に基金を造成する理由でございますけれども、観光振興、スポーツ振興、社会貢献等々一定の事業につきましては、その事業を行うに適当な外部団体に基金を積み立て、継続的に事業を行えるよう工夫をしたものでございます。このことによりまして、その事業について知識、経験を有する団体が複数年度にわたって事業を実施するための財源を確保できまして、予算の平準化に資するほか、その団体において複数年度にわたる事業計画を立てることができまして、円滑な事業執行、また工夫をしながらの事業執行が期待できるものと考えております。
     また、事業のチェックでございますけれども、今回の外部団体の基金の取り崩しに当たりましては、毎年度事前に事業計画を提出させまして、県においてその内容をチェックすることを考えております。また、事業の実施結果についても毎年度報告を求めることといたします。  なお、基金取り崩しの事業については、事前に議会に説明し、御理解をいただけるよう心がけてまいりたいと考えております。  また、基金残額の処理でございます。  平成23年度までに支出ができなかった基金残額でございますけれども、原則として県に返還を求めることを考えております。ただし、その時点の社会経済情勢等によりまして、平成24年度以降の当該事業の執行を必要とするような状況が仮にありますれば、それを認める必要性がある可能性もございますので、その時点でそのような必要性があるかどうかは検討してまいりたいと考えております。 22: ◯副議長(上代義郎) 山根環境生活部長。  〔山根生活環境部長登壇〕 23: ◯環境生活部長(山根成二) 私からは中海の水質に関する御質問についてお答えをいたします。  中海におきましては、4期20年間にわたりまして湖沼水質保全計画に基づいて汚濁負荷の削減などに取り組んでまいりました。この結果、中海の水質につきましては、年度により変動はございますが、長期的には横ばいないしやや改善傾向にあると認識しております。  具体的に申し上げますと、3期計画の5年間の平均値と直近の第4期計画5年間の平均値を比較いたしますと、COD、窒素、燐、すべての項目につきまして改善が見られております。  今後の浄化対策につきましては、下水道の整備や浅場造成などの湖内浄化対策、農地、市街地からの流出水対策等の施策を盛り込んだ第5期計画を今年度中に策定いたしまして、引き続き国や関係機関と連携してさらなる水質改善に努めてまいります。  また、流域住民の理解や参加の促進のために、流域の小中学生による流入河川調査、県民から公募した湖沼環境モニターによる五感を用いた湖沼調査など、鳥取県とも連携いたしました取り組みを行いまして、今後とも流域全体に活動が広がっていくよう努めていきたいと、かように考えています。 24: ◯副議長(上代義郎) 石垣農林水産部長。  〔石垣農林水産部長登壇〕 25: ◯農林水産部長(石垣英司) まず、サルボウの調査研究の現況についてお答えをいたします。  特に中海周辺において、アカガイと呼ばれておりますサルボウについてでありますが、平成18年から島根県の水産技術センターが実施をしております分布調査において、このサルボウの親貝の生息が認められたところでございます。これを受けまして、島根大学と水産技術センターが連携をいたしまして、天然のサルボウの稚貝、幼い貝、つまり子供の貝でありますけれども、これをとるための採苗試験、稚貝を苗に見立てた、その苗をとる採苗試験を実施をいたしまして、昨年度平成20年度には約7万個の子供の貝、稚貝が得られたところでございます。  今後は、この稚貝の放流試験を行いまして、放流後の生き残りの割合、あるいはその成長の様子、こういったものを把握いたしますとともに、さらに多くの稚貝、種苗を確保することができるようにならないか、引き続き稚貝をとる採苗の技術開発を進めていく考えでございます。  次に、中海の水産資源再生に向けての将来ビジョンについてであります。  平成17年度に策定をいたしました宍道湖・中海水産資源維持再生構想におきましては、中海においては水産資源の再生を図り、長期的には1,000トンの漁獲量を将来の目標といたしまして、国交省、島根大学、関係漁協、こういった関係の方々とも連携を図りながら、漁業の復活、再生に向けての各種の取り組みを行うこととしております。  この宍道湖・中海水産資源維持再生構想の実現に向けまして、平成18年度からは中海においては、御指摘のありましたサルボウに加えてアサリの分布調査、あるいはヨシエビ、本庄エビと言われておりますけれども、ヨシエビなどの漁業の実態調査など、今後活用が可能である有用水産生物の資源の再生に向けての各種の調査を実施しているところでございます。  今般の森山堤防の開削によりまして本庄水域と江島水域とがつながり、魚介類、水産物の2つの水域の間の移動が可能となりましたことから、本庄水域が漁場や育成の場としての機能を回復することを期待しているところでありますけれども、先ほど来申し上げておりますようなこれまでに実施した各種の調査の結果を踏まえ、今般の森山堤防開削が中海全体へどのような影響を及ぼすか、こうしたものも見きわめながら、今後中海の水産振興施策を検討してまいりたいと考えておる次第でございます。 26: ◯副議長(上代義郎) 石橋議員。  〔石橋富二雄議員登壇〕 27: ◯石橋富二雄議員 先ほどは御丁寧にお答えいただきましたけども、最初、この世襲制の問題につきましては大分見解の差があるような感じがしておりまして、再質問、もう一回答弁は求めませんけども、私が言ったことも脳裏のどこかに置かれまして、今後参考にしていただければと思っております。  もう一つ、経済対策の関係でありますけども、最近も厳しい状態のデータがありまして、経済同友会の皆さん方が、今月4日から15日にかけまして、同会経営のトップ615人を対象に景気定点観測アンケート調査をやられたようでありますけども、4-6月期につきまして、売上高の減収が64%、経常利益につきまして減益が56%ぐらいやっぱりあるわけでありまして、底を打ったって政府は言っておりますけども、上げ底の中の底を打ったような感じがするわけであります。  そういう意味で、本県も大変たくさんの額をつぎ込んで、補正から新年度から今回までありますけども、さきも申し上げたように、有効に有意義に効果が出るような事業をやっていただければと思うわけであります。約500億円といいますと、安来市の予算が二百二、三十億円、安来と雲南と大田を足したぐらいが五、六百億円ぐらいですから、相当な規模で補正予算をつくったわけでありますので、応分のやっぱり効果が出てこなければと思う次第であります。  その中で、事業計画が消化不良にならないように、金は出したばかりじゃなしに、中身をチェックして、その全体の引っ張り役が知事、あなたでありますので、もう一回、重い任務であることを決意されまして、引っ張っていくんだと、景気をよくするために、そして島根県経済が光明が見えるような方向に引っ張っていくように、力強い意思表示があればお聞きしたいと思ってますけども、いかがですか。 28: ◯副議長(上代義郎) 溝口知事。  〔溝口知事登壇〕 29: ◯知事溝口善兵衛) 2月と今回、相当規模の経済対策を提案をし、実施に移ってるわけです。早く効果が出るようにしなければいけないと、御指摘のとおりであります。  そういうことから、2月補正に際しましては、議会でも早く補正予算の成立をしていただきました。さらに、私どもは通常ですと4月から新予算の執行が始まるまでの間、3カ月ぐらい事業の遂行がなかなか進まない時期があったもんですから、2月で成立する予定のいろんな事業を先に入札をして、予算成立後開札してすぐに始めるといったようなことをやっておるわけでございます。したがいまして、そこで例年ですといろんな事業が年度初めに滞るわけでありますけども、その部分はかなり好影響を出してきているものというふうに見ております。  今般の6月補正が成立をしますと、今度はそれに引き続いてさらに夏から秋にかけて行って、開始ができるように精力的にやってまいりたいと思うわけでございます。  それから、さっきも申し上げましたが、非常に秋からはつるべ落としのように製造業あるいは輸出企業を中心に生産の低下が起こったわけであります。それが底を打ったということで、底打ちと言ってるんだと思いますが、落ちた水準は、企業によっては50%ぐらい減になったり、30%ぐらい減になった。そんなとこから上がっていくわけですから、水面に出るまでにはまだかかるわけでございまして、そういう意味でまだまだ予断を許さない状況が続くわけでございますから、国もそうでありますけども、県も補正予算等で追加された事業を早く実行するように努力していきたいと思いますし、また経済情勢を見ながら、午前中の質疑でも申し上げましたが、積立金のようなものも置いておるわけでございまして、今後の補正を含めて、一般財源の積立金の部分は活用するということも含めまして、よく経済の状況を見ながら適切に対応していきたいと考えているところであります。 30: ◯副議長(上代義郎) 田中議員。  〔田中八洲男議員登壇、拍手〕 31: ◯田中八洲男議員 自民党議員連盟の田中八洲男でございます。  質問の前に、先日亡くなられました澄田前知事の御遺族の皆様に心からお悔やみの言葉を申し述べたいと思います。  澄田前知事さんに関しましては、また質問の中で触れさせていただきたいと思います。  通告済みの項目につきまして、ただいまから質問をさせていただきます。担当部長さんの明快な答弁を期待するところでございます。  私ごとで恐縮ですけれど、私、平成7年にふるさと益田へ帰ってきて、政治の道に入るまで、いわゆる総合化学に分類される民間会社に勤めておりました。約30年間であります。そのころは工業薬品とか、あるいは化学品と呼ばれる比較的大型の製品、月産で数千トン、年産で何万トン、あるいは十数万トンというような、そんな製品を担当しておりました。その当時、経済指標として使っていた項目が3つございます。1つは、自動車の生産台数、2つ目が、いわゆる白物と言われる家庭電化製品、そして3つ目が住宅着工件数でございます。30年余り昔から、ある意味で言えば経済指標には大きな変化がないのだな。確かに輸出あるいは国内消費という点で重要な品目でございます。  これに関しまして、少し住宅着工について御質問いたしたいわけでございますが、現在エコ関連ということで、自動車並びに家電製品について相当程度に新聞紙上に、エコ関連の補助制度があるということで売れ行きが伸びているという記事が出ております。よく目にするわけでございます。  そこで、いま一つの住宅着工件数についてはいかがかなと疑問を持っておるわけでございます。最近のデータを見ますと、昨年の11月以降、さまざまな経済対策がとられているわけですけれど、余り住宅着工件数をふやすための奨励策というのが残念ながらテレビや新聞記事には登場してない。どうもお話によると、今回の補正予算では相当程度の着工奨励策が網羅されているようなお話に聞いております。  また一方、昨年来、いわゆる耐震構造設計の不正事件から、建築基準法の改定によって、その手続の複雑さゆえに、着工申請に相当なおくれが出て、結果的には住宅着工数の減少にも至っている、このような記事を見ておるとこでございます。  そこで、お伺いいたします。  最近の、昨年来の、特に10月以降、住宅着工の動向はいかがなっておるのかをお示しいただきたい。  そして、今現在どのような住宅着工奨励策が実施されようとしているか、その内容についてお示しいただければと思います。  また、先ほど申し上げましたように、なかなか一般わかりがするようにお話がされていないので、もしそのような政策について、あるいは事業について、費用節減効果がわかりやすく説明していただけるならば、例えば何千万円程度の家をつくりますと何百万円ぐらい得しますよといったような、そんな、例は非常にとりにくいんでしょうけど、そんな例があれば教えていただきたい。  そして加えて、この奨励策については、どのように一般県民の皆様に周知をさせていくか、どう考えておられるかをお伺いいたしたいと思います。  私としては、現状の住宅着工奨励策が必ずしも十分なものであるかどうか、いささか疑問を持っております。県独自の段階ではなかなか実施しにくいのであるならば、あるいは多少なりとも不十分さを感じるのであるならば、国に対して、例えば直近何年間は住宅着工については消費税を減税するとか、大胆な策を提言していくのもいかがかなと、そんなことを考えておるところでございます。  次に、これに直接関係するわけではありませんけれど、県産材、県産木材の利用促進策についてお伺いをいたしたいと思います。  ここ数年間の林業政策の中では、合板原料の供給に関して、あるいはチップ材の供給に関して、比較的ユーザーとしての大口の需要家に届け込む、そういった県産材に対して補助事業が多く行われているように思います。ただし、大変残念なことには、こういった合板原料あるいはチップ材、こういった材料はB級材あるいはC級材ということで、必ずしも優秀な木材、いわゆるA級と言われるすぐれた木材に該当されるものではありません。その結果、山元になかなかよい価格でもってこれが反映されることが非常に少ない、そういった欠陥を持っております。  そういう意味では、林業担当者の皆様もまさに住宅に県産材を使ってもらって、A級材を利用していただいて、可能であれば価格、数量ともよいものが山元に返っていく。あるいは、流通業者、加工業者あるいは乾燥等の業者、そういった流通・加工業者にさまざまな質、量ともにメリットが返っていくようなそういった県産材の利用政策が必要であろうかと思います。  既に県産材の利用については、ある程度の施策が出されております。私どもが市内の関連業者の皆様に聞いてみると、大変評判がよいように思います。この県産材の利用政策について概要を御説明いただくと同時に、その申し込み状況がいかがなものであるか、御説明をいただければと思います。  この県産材利用事業は、本日もお二人の方から質問がございましたけれど、外部機関に基金を蓄えて、基金造成を行って、それを利用することになっておるやに伺っております。また、従来から島根の木という品質に重点を置いた県産材に認証制度が実施されておって、優秀なすぐれた住宅を建てるという、そういった事業もありましたけれど、それとは少し離れて、必ずしも木材の優秀性とか品質性は問わずに、幅広い木材が利用可能とされるようでございます。  実は、国内全域でどのような県産材利用政策が打たれているのか、若干調べてみました。日付は明白じゃあございませんけれど、国内32府県で県産材の利用促進のための事業を実施されておられるようでございます。いずれも一定以上の数量あるいはパーセンテージの県産材を利用したら補助制度を出すという、それが大体根幹の制度ですけれど、他に低利の融資でありますとか、あるいは利子補給を行うといった制度もあるようでございます。県内においても、一部の金融機関は低利融資を意図した、そういった製品を既に並べられておるようでございます。  そういう意味で、本来の目的は、県産材の利用システムは県産材の特によい品質の部分、A級材について利用促進を図り、望むべくは質、量ともに山元にメリットが返っていく。そして、流通、加工の業者の皆様のところに利益が落ちていく。要するに、産業振興の側面が強いわけでございますけれど、外部機関であります木材協会等の機関に一定程度の補助適用の判断がゆだねられるとなったならば、果たして不正事件は間違いなく起こらないのか。本来の目的である県産材の質、量ともに伸びる状態が達成できるのか非常に懸念をされるところでございます。  他の県の認証システムについて調べてみましたところ、例えば千葉県の例では、原木市場の流通業者でありますとか、あるいは製材所加工業者が十分に県産材と他の木材を分別して保存、管理するような能力を有することを条件にしているとか、あるいは新潟県の例で見ますと、木を切ったところから証明書がずっと木材について回って、乾燥あるいは加工あるいは販売、そういったラインをずっと一番もとのところから追っかけるような、そういうシステムを構築しておるところでございます。  補助金が使われたけれど、実際に山に行ってみたら、木を切って木の流通量がふえたということがないというようなことがないように、ぜひとも不正が起こらないような配慮、管理システムが必要だと思うのですけれど、その辺について防止対策、どのように考えておられるかを御説明いただきたいと思います。  次に、児童相談、女性相談について質問いたします。  平成16年だったでしょうか、児童虐待等防止法あるいは児童福祉法の法改正が行われて、市民に一番近い市町村で児童相談に関して一定の役割を果たすような、そういう法改正が行われて、平成17年からはそれが実際に実行に移されました。それ以前の段階、福祉関連のこういった福祉事務所でもって島根県が一手に児童相談を引き受けていた時代から、広く役割分担が行われて、市町村の対応能力の向上、あるいは島根県サイドの専門能力の向上、さまざまな努力をされながら現在に至っているものだと理解をしております。この業務分担に関しまして、対応能力の向上や、あるいは専門性の向上などの機能分担は順調に推移しているのかどうか、御説明をいただきたいと思います。  虐待の問題について次にお話を聞きたいわけですけれど、全くの偶然なんですけど、昨日、だんなさんが民生委員をやっておられたという方がたまたま私の事務所に寄られまして、相談というわけでもなくお話をされました。だんな様が民生委員をやっておられたのは数年前になるんですけど、母子家庭があって、おばあさんと一緒に住んでいるのだけれど、その父親が広島のほうから来て、子供を引き取りたい、子供に会いたいということで相談に見えたけれど、母親が受け付けないというようなことで、当時若干関与した。その母子家庭のお母さんが再婚されて、子供さんが虐待で既に保護されている。そこへもってきて、お母さんが亡くなられてしまった。おばあさんは高齢化して施設に入っておられる。相談というわけでもなく、そんなお話がございました。既に子供さん、小学校5年生だそうですけれど、保護の状態に入っているならば、あえて私のほうからお話をしなくても専門の方に任せとけばきちんと対応していただけるんじゃなかろうかというお話がありました。  以前は、新聞等で随分たくさん虐待事例が掲載されておりました。最近、新聞などで余り見かけなくなったなと思っておったら、本当に偶然なんですけど、たまたま昨日、きょう質問する1日前にそんな質問がございました。  最近の相談内容、どんな傾向でございましょうか。虐待問題、またその他の相談内容を含めましてどんな傾向にあるのか、件数はどうなのか、そんな全般的な状況をお話しいただきたいと思います。  次に、女性相談でございます。  何年からだったでしょうか、平成18年からだったでしょうか、女性相談の窓口が児童相談所の中に置かれるようになりました。女性の保護という観点で始まったこの女性相談のシステム、始まってからもう50年を経過してるんだそうでございます。ところが、最近、いわゆるドメスティック・バイオレンスの問題が非常に顕在化してきた。ある意味では、未経験の問題が一度にどっと起こったような感じでドメスティック・バイオレンスというものが話題になりました。これも新しい対応が始まっておるわけですけれど、今現在、ある程度の経験年数を積んで習熟をふやしており、問題点その他もだんだん整理されてきたんじゃなかろうかと思いますが、ドメスティック・バイオレンスの相談件数等いかがなものでしょうか。  あるいは、女性相談の課題といったものをどのように把握しておられるかについて御説明をいただきたいと思います。  ことしの3月議会が終わった時点、3月に益田の児童相談所に訪ねていって、所長さんから児童相談あるいは女性相談の内容についていろいろお話を聞かせていただきました。相談所の内部にもいろいろ案内をしていただいて状況を拝見させていただきました。県内に4つ児童相談所があるそうでございます。隠岐の相談室を除きまして4つの相談所があるそうでございますが、この益田の児童相談所、老朽化して、少し手狭なのかなという印象を受けました。  現在、児童相談所の整備というのはどの程度に進んでいるのか。4つあるそうでございます。詳しいデータは要りませんけれど、どの程度の築年数がたっているのか。それから、建て直しについてどのようにお考えになっておられるかについて御説明をいただきたいと思います。  次に、介護予防についてお尋ねいたします。  平成18年に介護保険制度が改定になりました。このときの主眼は、1つは小規模多機能の設備を取り入れる、そしていま一つは介護予防を取り入れる、そんな項目でございました。しかし、これは表には出ておりませんけれど、昨日も問題になりました、社会保障費の自然増嵩を抑えるために、高齢者福祉に必要な費用に対して一定程度のブレーキをかけたいという意図が実は裏にあったんじゃないかなというのがある意味では見え見えでした。  この18年の改定の後、要介護あるいは要支援の認定の変更、認定レベルの変更あるいは認定基準の変更、そういったいろんな要素が絡み合って、多くの高齢者介護施設、経営状態が悪化して、勤務する職員の給与状態が低下したという非常に悪い状況が起こり、これの修正動作がその後大きな問題になって、やっと昨年からでしょうか、こういった介護施設の職員の給与レベルをアップさせなきゃいけないということで、昨年の3%アップ、あるいは今回の補正予算でも、3年間の年限が切られておりますので安心はできないけれど、大きく大きく介護従事者の給与についてアップする方向にかじが切られたものだというふうに理解をしております。  ただ、介護予防そのものは、その趣旨からいって、患者さんという言葉じゃいけません、高齢者が介護度がどんどんどんどん重度化していく、1や2であった方が4、5とどんどんどんどん重度化していくという、そういう状態を何とかストップしなきゃならないという趣旨のもとに始められたものですから、このこと自体は悪く申せる、あるいはいけないと言えるものじゃありません。ただ、18年から始まってこの21年3月で、ある意味で言えば一定年数の実際経験が積まれただけでございます。18年あるいは19年は実施する内容も不確かで、手探りの状態でばらばらな状況が進展してきたのだとは思いますが、厚生労働省は21年3月に介護予防について研修報告を行っているはずです。その結果、確かに介護予防のこの事業が要介護者あるいは要支援者の重度化防止に有効な働きをしたのかどうか、その検証結果について伺いたいと思います。  島根県に関しましては、この厚生労働省の調査に関して、3つでしたか、4つでしたか、町村がみずから手を上げてのその検証作業に参加しますということで参加されたそうです。数としてはどうも十分じゃないんだけれど、非常に手間暇かかるということで希望者が少なかったように思います。十分な数ではなかったように思いますが、そのデータはいかがだったんでございましょうか。  そして加えて、島根県が高齢者の高齢化度が最も進んだ県として、過去介護保険制度がスタートするときには、島根県のデータでもって介護保険制度を構築するというような実態が随分とありました。この計画、この事業は島根県のデータをベースにして組み立てられたんですよという時代がありました。そして、今もなお担当者御自身多くの方々が、島根県が最も高齢化が進んだ県であるということを自認しておられるならば、確かなデータを独自に集めて、今現在の介護予防制度の事業内容は本当に有効なんだろうか、場合によっては島根県独自でもっともっといい施策はとれないのか、そんなことを検証すべきではなかろうかと思いますけれど、いかがなものでございましょうか。  私、過去の県議会の中でよく申し上げたことなんでございますが、島根県は福祉施策について、1つ独自の進んだシステムを構築して、それが日本国内に島根モデルとして後から追っかける人がたくさん出るような、そんな時代をつくってほしいということを申し上げましたけれど、この機会に再度島根モデルの構築についてお願いをいたします。  次に、県立美術館及び石見芸術文化センターについて質問させていただきます。  先ほども申し上げましたように、芸術と文化というのは大変位置づけが難しい。特に、経済状態が悪いとき、財政状態が悪いとき、どのように位置づけていくのかは難しいと思います。ただ、澄田前知事さんは、一番最後の事業として石見芸術文化センターグラントワ及び出雲の古代歴史博物館をつくられました。当時、確かに財政状況は厳しくなっていた。箱物として批判をされる方々もいた。そんな中で、グラントワに関して言えば、砒素の問題が出て、建設費の増嵩が話題になり、さまざまな批判がさらに大きくなっていた時代、澄田前知事さんはあえてこのような文化施設を建設することに真っすぐ進んでいただいた。私としては、グラントワの地元に住んでおります者の一人として、澄田前知事に強く感謝と敬意の念を払いたいと思います。  ただ、なかなか文化芸術施設というのは難しいところがあろうかと思います。ことし、県立美術館10周年を迎えられました。さまざまな記念事業を取り入れられておられるようです。私も、ちょっと正確には忘れましたけど、フランスの19世紀美術というんですか、あの展覧会は見に行かせてもらいました。今は吉村作治さんのエジプトのミイラの展示が行われているようです。大変入館者もふえ、評判もよろしいように伺っておりますが、少しその辺の成果がいかがであったか、御説明をいただきたいと思います。  こういった施設、なかなか長い年月の間、一定程度の評判をキープしていくのが大変難しい。アクアスであっても、入館者を再度ふやすため、あるいは話題性を提供するため、シロイルカが出産間近というラッキーなニュースもありますけど、ペンギン館をつくって集客能力をアップされたのは目新しいところでございますが、グラントワについてもそんなことが必要な時代が来ているのじゃあなかろうかと思います。来年はグラントワ5周年の記念の年になります。グラントワの開館当初には、エルミタージュの美術館の展覧会、あるいは小澤征爾さんがタクトを振る一群の音楽家たちによる「セビリアの理髪師」、オペラがございました。こんな一連のイベントには本当に中国地方は当然のことながら、九州や、あるいは東京や大阪からもたくさんの方が来られたように伺っております。  なかなか芸術文化というのはお金がかかる。そして、かかるお金をどういうふうに評価するかは難しいかもしれませんけれど、やはり澄田前知事さんが残されたこのグラントワに、せっかくの5周年でございますので、今後ひとつ従来からの成果を検証した上で、何とか入館者がふえるようにさまざまな施策をとっていただきたい。あるいは、そのほかにも地元との関係で課題というものを考えておられるのなら、そのようなものを御説明いただきたいと思います。  以上で私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 32: ◯副議長(上代義郎) 山根環境生活部長。  〔山根生活環境部長登壇〕 33: ◯環境生活部長(山根成二) 私からは、島根県立美術館と石見芸術センターに関する御質問にお答えをいたします。  まず、県立美術館10周年記念のフランス絵画の19世紀展についてでございますが、これはルーブル美術館、オルセー美術館を始めといたしまして約40の美術館から貴重なコレクションを集めて開催したものでございます。アカデミズムから印象派の流れをとらえた展覧会といたしまして、県民の皆様を始め国内外の美術関係者から高い評価をいただいたというふうに考えております。  また、観覧者数につきましても、目標7万人でございましたが、それを大きく上回る8万人のお客様に来ていただきました。特に5月の連休の間は昨年の2倍の来館者を数えるなど、県内観光の集客施設としても大きな役割を果たしたのではないかと、かように考えております。  グラントワにつきましては、石見地域の芸術文化拠点施設といたしまして、美術、音楽、演劇など質の高い、今議員御指摘いただきましたように、質の高い芸術文化の鑑賞機会を提供してまいりました。平成17年の開館以来、これまで140万人を超える入館者数を数えているという状況でございます。  今後の課題といたしましては、美術館とホールの複合施設という利点を生かしまして、さらに県内外からの誘客を図る必要があると、かように考えております。このためには、他の文化施設と相互に連携した事業を新たに計画しているところでございまして、また地元の市町村とも連携を図りながら、人的な文化交流が生まれるよう一層努めてまいりたいと、かように考えております。  5周年を迎える来年秋には、古代出雲歴史博物館と連携いたしまして、「神々」をテーマといたしました展覧会の開催やホールでの記念コンサート、また地域交流イベントなどを開催し、議員御指摘のように、集客力のアップに努めてまいりたいと、かように考えております。 34: ◯副議長(上代義郎) 錦織健康福祉部長。  〔錦織健康福祉部長登壇〕 35: ◯健康福祉部長(錦織厚雄) 私からは、児童相談、女性相談、それから介護予防、大きく2つの点についてお答えをいたします。  まず、児童相談の機能分担についてでございますけども、平成16年の児童福祉法改正におきまして、市町村は児童に関する一般的な相談全般に当たる、それから児童相談所では専門的な知見を必要とする相談への対応や市町村の支援を行うことが規定をされておりまして、児童相談体制は2層化しております。この改正を受けまして、平成17年度から県内全市町村に児童相談窓口が開設されております。  市町村における相談支援体制を整備するため、地域におきましては、福祉、医療、教育などの子育てを支援する機関の連携を密にし、保護を要する児童の支援について協議する要保護児童対策地域協議会も平成19年度には全市町村に設置をされております。  県におきましては、各市町村窓口の職員研修を行うとともに、協議会への参画による運営支援を行いまして、市町村の相談対応能力の向上に努めてきたところであります。一層の向上を目指して、引き続き市町村支援を進めてまいります。  また、児童相談所におきましては、児童心理司等の専門職員の採用でありますとか、研修の実施、それから嘱託として配置をいたしております医師、それから弁護士の皆さん方の専門的立場からの支援を受けることによりまして、相談支援機能の強化を図っております。  以上のように機能分担は順調に推移していると考えておりますが、引き続き児童相談体制の充実を図ってまいります。  次に、児童相談の内容と件数についてでございます。  児童相談件数は増加の一途をたどっておりまして、昨年度は児童相談所で受け付けた件数だけでも3,000件を超えておりまして、市町村受け付け分と合わせますと約4,500件となっております。児童相談所受け付け分では、児童虐待、それから保護者がいない、それから養育できないなどの理由による養護相談と分類しておりますけども、ここ3年間急激に増加しておりまして、平成17年度の倍の1,300件となっているということでございます。  また、市町村受け付け分では、相談窓口が設置されました平成17年度から昨年度までおおむね1,200件程度で推移しておりますけども、先ほど申し上げました養護相談の占める割合が増加しておりまして、昨年度は全相談の半数を占めております。  その要因といたしましては、昨今の経済情勢の悪化の影響で経済的困窮にある家庭が増加していることが背景にあるのではないかと推測をしております。
     次に、DV相談件数の状況とDV防止対策の今後の課題についてでございます。  女性相談の受け付け状況を見ますと、平成17年度までは2,000件程度で推移しておりました件数が20年度は3,943件と大きな伸びを示しております。このうち、夫の暴力を主な訴えといたしますいわゆるDV相談件数につきましては、平成17年度までは400件程度で推移しておりました。20年度は738件と2倍近くになっております。この相談件数の伸びは、18年度に女性相談センターを大田に加え松江にも開設したこと、またそれに伴いまして周知啓発を行ったことが影響しているのではないかと思っております。  こうしたことから、一人でも多くDV被害者を保護し、自立に向け支援していくためには、今後は住民生活に最も身近な市町村における窓口拡大、それから取り組みの強化を図っていくことが重要であると考えております。  県といたしましては、市町村基本計画の策定等も含め、体制整備を働きかけるとともに、研修機会や情報提供等支援策を講じまして、協力連携体制を構築していきたいと思っております。  続いて、各児童相談所の築年数、それから益田児童相談所についてでございます。  県内には4つの児童相談所がございまして、その整備年と築年数を見ますと、松江にあります中央児童相談所が平成2年、築19年でございます。それから、出雲の児童相談所が昭和61年で築23年。浜田が一番新しくて、平成16年で築5年でございます。益田が一番古く、昭和43年で築41年となっております。益田児童相談所につきましては、40年前の仕様でございまして、一時保護所の居室は狭く、学習室や娯楽室もありません。ほかの児童相談所に比べまして、保護児童の居住環境としては快適性、機能性の面で著しく劣る状況にございます。そうした状況を踏まえますと、益田児童相談所につきましては整備について検討が必要であると考えております。  続いて、介護予防についてでございます。  まず、介護予防に関する厚生労働省の検証結果についてでございます。  厚生労働省の検証は、市町村が実施する介護予防関連事業にかかわります詳細な情報を収集し、効果的、効率的な事業実施に資することを目的に実施されておりまして、それによりますと、介護保険法に基づく予防給付の費用対効果分析としては、要支援者1,000人当たり、施策導入前では要介護度が悪化した者が389人であったのに対しまして、施策を導入した後においては234人となっておりまして、悪化した者が155人減少してる。1人当たり年間約10万7,000円の費用が減少する結果となっている。導入された予防給付がすぐれたものと判断できるとしております。また、要支援になるおそれのある者、いわゆる特定高齢者に対する施策の費用対効果分析としましては、特定高齢者1,000人当たり、施策導入前後で悪化した者が56人から49人に減少、費用も1人当たり年間2万円の費用が減少した。これにつきましては、悪化者の減少数には有意性はないが、費用の面については一定の効果があったというように報告しております。  それで、これを県独自の検証をしたらどうかということでございますけども、今回国の評価につきましては本県からは4町村が参加しておりまして、本県から参加した市町村は少ないわけでありますが、全国では83市町村の協力を得まして約9,000人の対象者の状況を分析されたものでございます。この分析内容は本県においても有効なものであると認識しておりまして、県独自に検証することは考えておりません。  ただ、御指摘のように、県独自の施策の推進も必要であるというふうには考えておりまして、本年度から県の介護予防評価支援委員会に運動機能向上部会、口腔機能の向上、栄養改善部会を設置をいたしまして、それぞれの部会において、市町村が事業を実施する際の参考となる介護予防マニュアルを県独自に策定することにしております。  また、ふるさと雇用再生特別基金事業を活用いたしまして、市町村や事業所がより効果的な介護予防事業が実施できますよう、そのプログラムの企画・開発も同時に行う予定にしております。こうした事業を通じまして、市町村や事業所が実施する介護予防事業を支援していきたいというふうに考えております。以上でございます。 36: ◯副議長(上代義郎) 石垣農林水産部長。  〔石垣農林水産部長登壇〕 37: ◯農林水産部長(石垣英司) 私からは、県産材の住宅分野での利用促進策についてお答えをいたします。  県産材の利用促進対策といたしまして、駅であるとか学校といった公共施設での利用促進を図ることとともに、やはり木造住宅の建築促進を図るということがやはり主なものの一つになるであろうと考えております。特に住宅につきましては、木材消費量、木材製品出荷額の増加につながるものでありまして、議員の御指摘にありましたように、山元、森林組合等の山元の所得向上はもちろんでありますけれども、川下の木材産業や住宅関連産業など地域経済の活性化にも大きく貢献するものと期待しております。  このため、平成19年度から、県産木材を70%以上使用した木造住宅の建築に取り組まれる工務店や製材所などで構成するグループが行うPR活動に対して支援を行う「住んで安心しまねの木の家バックアップ事業」を実施しているところでございます。さらに、今年度、平成21年度当初予算におきましては、柱やはりといった県産木材を50%以上使用した木造住宅を新たに建てる新築、購入あるいは増改築を行われる方、いわゆる施主さんでありますけれども、この施主に対しまして1件当たり最大30万円、増改築であれば15万円、これを助成をする県産木材を生かした木造住宅づくり支援事業を創設したところでございます。  また、今回の補正予算におきましては、この木造住宅づくり支援事業にメニューを追加するという形で、県産木材を使った住宅の模様がえ等に対しましては1件当たり最大で10万円、商店でありますとか社会福祉施設といったこういった建物についての模様がえの場合でも1件当たり最大20万円を助成する仕組み、これらを拡充いたしました。加えまして、平成23年度までこの助成措置を継続できるように措置をいたしたいというふうに考えているところでございます。  これらの措置によりまして県産木材の住宅への利用促進を幅広く、かつ継続的に図ってまいりたいと考えているところでございます。  続きまして、この県産木材を生かした木造住宅づくり支援事業、こちらの申し込みの状況でございます。  事業主体であります社団法人島根県木材協会には、6月19日現在でありますけれども、新築と増改築合わせまして105件の申し込みがされております。当初の計画件数は190件見込んでおるところでございますので、これの半数は超えているといった状況に現在あるわけでございます。  続きまして、この利用促進策につきまして不正利用の防止対策、これをどうするかというお尋ねでございます。  これまで、先ほど延べましたところの平成19年度から実施しております「住んで安心しまねの木の家バックアップ事業」におきましては、県内で伐採された木材であることを確認するシステムというものは、社団法人島根県木材協会に設置されておりますしまねの木認証センター、こちらが平成16年度からしまねの木認証制度に取り組んできております。これでもってこの木の家バックアップ事業での確認を行っているところでございます。この認証制度でございますけれども、伐採業者、森林組合なども含みますけれども、伐採業者あるいは製材所等、木材の生産、加工の現場から住宅建築現場に至るまで、県内で切られた木であることを称する証票、こういったものを順次この材に貼付していくことによりまして、逆にさかのぼって確認することができるようにすると、先ほど議員が新潟県の例として挙げておられたそれに類似した仕組みでございますけれども、こうしたさかのぼりが可能となるトレーサビリティーの手法を用いた認証制度なわけでございますけれども、これが平成16年度からこの認証制度に取り組まれてきたわけでございまして、こういった制度、手法は定着を見ており、県産木材のこの方法による取り扱いの信頼性も高まってきたものと考えておるところでございます。  このような状況を踏まえまして、今年度からの県産木材を生かした木造住宅づくり支援事業におきましては、認証センターの会員であります製材所が発行する、県内で伐採された木でありますよということを証明する証明書で確認をいたしますとともに、木材協会が指名をした検査員、こちらは材についての幅広い知見を持っておると考えられる検査員でありますけれども、検査員によりまして建築現場の検査を実施いたしまして、最終的には県産木材の使用状況を確認することとしているところでございます。  島根県といたしましても、今後とも引き続きまして、事業主体である木材協会に対しましてこの事業が適正に実施されるように指導を徹底いたしますとともに、可能な限り頻繁に報告を求めるというような形で実施状況を把握いたしまして、補助金の適正な執行、これに努めてまいりたいと考えておるところでございます。以上でございます。 38: ◯副議長(上代義郎) 鳥屋土木部長。  〔鳥屋土木部長登壇〕 39: ◯土木部長(鳥屋均) 島根県内の住宅着工の状況についてお答えします。  県内の新設住宅着工件数は、平成8年度に消費税見直しの駆け込み需要により、過去最高の6,951戸を記録し、それ以降は住宅税制の優遇策などの効果による小さな増減を繰り返しながら、全体として減少してまいりました。  平成20年度には、年度後半からの景気後退の影響を受けまして建設が伸び悩み、3,232戸となっております。その内訳と対前年比は、持ち家が9.7%減少いたしまして1,401戸、貸し家が6.7%増加し、1,536戸、分譲住宅などが50.1%減少し、295戸となっております。  次に、住宅建設に関する奨励策、費用節減効果及び周知についてお答えします。  これまでも住宅建設に関しては、国及び県において公的賃貸住宅の建設促進や個人住宅取得に対する住宅税制、融資制度の優遇策に取り組んでまいりましたが、国においてはこのたびの経済対策として、さらなる追加支援策が講じられたところです。  その中で、特に個人住宅に対する支援策を申し上げますと、税制優遇策として住宅取得に対する住宅ローン減税の控除額の拡充、贈与税の非課税措置の拡充、長期優良住宅に対する所得税の特別控除の新設などが行われております。また、融資制度としては、住宅金融支援機構の融資枠の拡大や優良住宅等に対する金利優遇が行われています。さらに、既存住宅のリフォームに対しても、住宅税制の優遇策が拡充されております。  費用節減効果について、数ある支援策のうち住宅ローン減税を例にお答えします。  県内の平均的な新築住宅の建設費である2,300万円に対して、全額ローンを利用した場合を試算いたしますと、10年間の所得税控除額の総額が従前の160万円から約200万円になり、40万円余りの拡大となります。  周知についてお答えします。  県の地方機関や建築関係団体において情報提供や相談業務などを行うとともに、市町村と連携し、広くPRに努めてまいりたいと考えております。 40: ◯副議長(上代義郎) この際しばらく休憩し、午後3時20分から再開をいたします。        午後2時57分休憩        午後3時23分再開 41: ◯議長田原正居) それでは、会議を再開いたします。  引き続いて、一般質問を行います。  加藤議員。  〔加藤勇議員登壇、拍手〕 42: ◯加藤勇議員 本日最後の質問者です自民党議連の加藤勇でございます。県民の多くの方々が政治に関心を持っていただくことをお礼を申し上げます。ありがとうございます。  知事始め教育長、担当部長からの明快な答弁をいただくようよろしくお願い申し上げます。  まず初めに、将来を託す子供の教育についてお伺いします。  島根県議会文教厚生委員会では、島根の教育はいかにあるべきかとして、平成18年に「あすの島根教育を目指して」政策提言を行いました。県及び教育委員会におかれましては、この提言の趣旨を真摯に受けとめられ、教育行政の適切な対応を進められていることと思います。また、県では、昨年改定された、「ふるさとを愛し、未来を切り拓く子どもを育むしまね教育ビジョン21」に基づき、島根の特色を生かした教育の推進を図られているところですが、県内すべての子供が健やかに成長できる環境づくりなど各種施策を進めていく必要があります。  そこで、議会から政策提言を受け、また島根の子供の教育の基本的な方向を明らかにした「しまね教育ビジョン21」の改定を行われた上において、これからの豊かな文化、自然、歴史を持つ島根の将来を担う子供たちの教育についてどう考えておられるか、知事にお伺いします。  ほぼ10年ぶりに改訂された新学習指導要領における教育内容の主な改善事項では、言語は、知的活動やコミュニケーション、感性、情緒の基盤であり、思考力、判断力、表現力をはぐくむため、また子供たちが他者や社会とかかわる上でも言語に関する能力を高めることが重要、また発達の段階と言語の果たす役割も踏まえ、記録、要約、説明、論述、討論といった言語活動を各教科等において意識的に充実を図るとした言語活動の充実が示されております。  こうした新たに示された教育方法は、教育現場に正確に伝達され、実践されることが重要であります。そこで新学習指導要領の教育現場に対する趣旨の周知徹底や支援方法について教育長にお伺いします。  また、よりよい教育の現場においては、学校、保護者、地域が一体となって取り組んでいく必要があります。教育者のみならず保護者への周知徹底についてもお伺いします。  千葉県の八千代市立阿蘇中学校においては、昨年1月から全学級で机の配置をコの字型として授業が行われました。多くの教科で1時間に1度は三、四人組のグループ学習が入り、生徒同士の表情がよく見え、言葉を交わしやすいとのことで、教壇もなくした方式です。担当主任からは、自信のない子供の意見が出やすいようだ。わからないことを聞き合う雰囲気が自然に出てきているとコメントされております。これは佐藤学東大教授が提唱されている「学びの共同体」と呼ばれる取り組みの一環で、子供が一人残らず学べる形態として約10年前に生まれました。この「学びの共同体」を導入して以来、40人いた不登校生も数人に減ったとのことで、約3万4,000ある全国の小中学校のうち、少なくとも3,000校で実施されております。  このように、教室の机の配置などを配慮し、授業環境を整えることは、まさしく学習指導要領の重点として示しています言語活動の充実と密接な関係があり、教育上配慮すべき事項の一つであると考えられます。  本県でもこのようなコの字型教室化を推進してはいかがでしょうか。県内での取り組み状況及び今後の方針についてお伺いします。  未来を背負っていく子供たちがよりよい環境の中で教育を受けることは大変重要であり、島根の子供たちが生き生きと育っていくことを願っております。  次に、特別支援教育の取り組みについてお伺いします。  平成17年4月に施行された発達障害者支援法によりますと、発達障害とは、自閉症、アスペルガー症候群、その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能の障害であって、その症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいうと定義され、国及び県の責務として、発達障害の早期発見とその支援のために必要な措置を講じるよう定めております。また、平成18年4月には学校教育法施行規則の一部が改正され、教育的支援を適切に行うため、新たにLD・ADHDの児童生徒を通級による指導の対象に位置づけられております。  通常の学級においては、学習障害や注意欠陥多動性障害などによって学習や行動面で特別な教育的支援を必要としている児童生徒がおよそ6%の割合で在籍していると言われます。義務教育段階における特別支援教育の通級による指導の対象者について、県内の状況をお伺いします。  また、法改正に基づく県の取り組みをお伺いします。  特に、成長発達の段階で障害を受けた場合、その後の人間形成にかかわる発達全般に影響を及ぼすことになるため、障害の早期発見の機会の充実と早期対応への取り組みが強化されることが重要と考えていますが、その対策についてお伺いします。  特に特別支援学校の在籍者は増加傾向にあり、中でも高等部においては知的障害の増加割合が近年高くなっております。中国地方でも特別支援学校の高等部の増員が目立っておりますが、県内でもこの4月に松江養護学校が安来高校に、出雲養護学校が邇摩高校にそれぞれ分教室を設置されたところであります。  そこで、県内の特別支援学校の在籍人数の推移並びに知的障害者の増加状況と、その要因はどこにあるか、お伺いします。  また、高等部の入学者の増加に伴い、卒業後の進路状況と、その進路指導の取り組みについてお伺いします。  特別支援学校卒業後に自立した社会生活を行っていくためには、仕事につき、働き続けることも必要です。そのためには、教育から就労へ移行するための在学中の職業教育や職業体験が重要であると考えられます。このためには、県内の職業体験の受け入れ事業所の理解と協力が不可欠です。障害者自立支援法では、職場実習を受け入れる企業に対して、設備、機器の導入等の支援策が講じられているところですが、受け入れの対象者は一般就労への移行促進のためとし、授産施設等を利用している障害者に限られています。将来を見据えた就労支援を行うための一つとして、在学中に職業体験を受け入れる企業への支援もあってしかるべきと考えます。厚生労働省と文部科学省の組織の枠組みにとらわれることのない施策化が求められます。  そこで、在学中の生徒の職場実習を受け入れるために、企業が必要とされる事項に対する支援について、文部科学省所管の国事業の制度化、または県独自の支援の考えがあるかをお伺いします。  ここで、働く意味について深く考えさせられる心に残った言葉を紹介いたします。  粉の飛びにくいチョーク、商品名「キットパス」で国内シェア30%を占めている日本理化学工業株式会社では、従業員74名中、実に7割を超える54名の知的障害の方を採用しておられます。そして、その採用実績は50年もの歴史があります。障害者の雇用を積極的に進められる企業の中でも草分け的な会社でありますが、私の知るこの会社の会長の大山泰弘さんから聞いた、ある禅僧から教えられたという「人間の4つの幸せ」の言葉です。1つ目は愛されること、2つ目は人に褒められること、3つ目は人の役に立つこと、4つ目は人に必要とされることです。愛されること以外の3つは、社会に出て働いてこそ得られるもので、この人間の幸せは施設が与えるのではなく、企業が与えなければならないという大山氏の強い思いがあります。心の目が開かれるような言葉です。  次に、少子化対策についてお伺いします。  平成20年合計特殊出生率は前年比0.03ポイント上昇し、1.73となり、過去最低であった平成17年の1.26から3年連続で上昇したと今月の3日に厚生労働省から発表されましたが、出生率は依然極めて低い水準であります。都道府県別では、島根県が前年比0.02ポイント下降の1.51で、鳥取県を含む4県が下降に転じております。また、厚生労働省の人口動態統計による平成20年の島根県の出生数は、対前年229人の減の5,685人で、昭和22年の調査開始以降最少となっており、少子化の加速が顕著になってきております。このような状況で少子化に歯どめがかからなければ、社会の活力が失われ、日本経済にも大きな影響、不安が生じるものと考えます。また、世代間の支え合いを基礎とする社会保障の不安への連鎖が生まれることにもなりかねません。  島根県では少子化対策に鋭意取り組んでおられますが、まずこの島根県の合計特殊出生率の下降や出生者数の減少の発表を受けて、知事はどのように受けとめられたか、率直な御意見をお伺いいたします。  少子化対策の諸制度に対する認知度は、出産された方は必然的に高くなると推測されますが、将来結婚して子供を産もうとされている、特に若い方に対して、例えば成人式などで、子供を安心して産むことのできる対策の周知は行われているのでしょうか。少子化対策の効果を発揮するためには、早い段階から積極的な取り組みを促進するべきと考えます。  そこで、少子化対策の制度を県民にどのように周知しておられるのか、お伺いいたします。  私は、少子化対策に有効な手だての一つとして、不妊治療に対する支援は不可欠ではないかと考えております。私の周りでも、不妊治療は体力的にも金銭的にも大変との声を聞いており、その対策の不十分さを感じております。  WHOによる不妊の定義は、避妊をしていないのに2年以上にわたって妊娠に至らない状態となっております。日本では、子供を望んでいるが妊娠に至ってない夫婦は10組に1人で、多くの夫婦が不妊に悩み、不妊治療を受ける夫婦も年々増加しております。現在では約50万組の夫婦が不妊治療を受けていると言われます。さらに、不妊現象に悩む当事者は約150万組いると試算されております。不妊の原因としては、男性側に問題があるケースは約40%、女性側に問題があるケースが40%と、割合は同じで、原因不明の場合もあるということです。  医療費の自己負担については、不妊治療のうち人工授精、体外受精、顕微授精の治療に対しては保険医療の適用がなく、その自己負担は1回当たり約60万円と高額になる治療もあります。平成18年に行われた不妊治療受診者のアンケートでも、行政に望むことの第1位は「不妊治療費の負担軽減」と、大きな期待が寄せられています。  そこで、県の不妊治療に対する支援の考え方並びに体外受精の保険適用について国を動かす取り組みについてお伺いします。  体外受精により誕生した出生児数は、総出生児数の約2%で、またそれ以外の治療により誕生した事例は4%に及ぶ数と推測されることから、少子化対策の有効な施策として、不妊治療の保険適用に向けた取り組みを強く推し進められることをお願いいたすところでございます。  次に、AEDについてお伺いします。  厚生労働省及び総務省消防庁の報告によりますと、自動体外式除細動器、いわゆるAEDは平成16年7月から住民の使用が認められ、公共施設を中心に平成19年末現在、全国で13万台設置されております。また、心肺停止となった人を、現場に居合わせた一般住民がAEDの応急手当てをしたケースが平成19年に全国で287件あり、平成17年の6.2倍となっていることが調査でわかっております。  AEDを使った場合を見ますと、患者の1カ月後の生存率は42.5%と、使用しなかった場合の9.7%を上回っており、また心肺機能停止時点が目撃されてからの早期の心肺蘇生の重要性も明らかになっております。  このように、AEDの有効性は明らかになっており、全国各地で機器整備も進んでいると考えておりますが、本県における住民によるAEDの使用実績状況についてお伺いします。  AEDの普及に伴い、機器の価格も、登場し始めたころ1セット当たり100万円以上だったものが現在では4メーカー、30万円前後となり、以前と比較すると購入しやすくはなっているものの、まだまだ高額な機器となっております。財政の厳しい中で、施策順位をつけながらの予算運営であろうとは存じますが、県内の公共施設におけるAEDの設置状況及び普及促進の考えをお伺いします。  一方、老人ホーム、ゴルフ場、海水浴場、パチンコ遊技場など民間施設への設置も進んでいるとは思いますが、県内の民間施設におけるAEDの設置状況、普及促進の考え方をお伺いします。  救命救急においてAEDが使用される際に、その管理不備により機能を発揮できないなどの重大な事象の防止は当然必要であり、AEDの普及とともに適切な機器の管理は大変重要であると考えられますが、維持管理に対しての考え方をお伺いします。  また、いざというときに備えた実地訓練も必要不可欠と考えますが、県民に対してAEDなどを活用した救命講習の開催状況及びその考え方をお伺いします。  私たちは、いつ、どこで突然の病気やけがが起こるかわかりません。突然に心臓や呼吸がとまってしまった場合、居合わせた住民の適切な措置によって命が救われる場合もあります。救命救急の大切さと命の大切さを改めて考えることも必要なことと思っております。  最後に、宅老所についてお伺いします。  佐賀県における宅老所とは、一般的に法令に定義のない民間独自の福祉サービスを提供している施設をいい、高齢者ができる限り住みなれた地域で生活できるよう、介護保険サービスなどの既存制度の範囲では手が届かない部分にもきめ細かく対応した独自の福祉サービスを提供している地域に密着した施設と定義づけています。多くの宅老所では、民家を改造し、そこで日中デイサービスという形でお年寄りさんを預かり、必要なら時には泊まれるショートステイという運営がされております。このような宅老所のよさは、民家を改造してできるために、町外れではなく住みなれた地域で設置できるという点があります。島根県でも大きく増加している高齢者のみの夫婦世帯や単身世帯の高齢者のサロンとして有効な施設となり、宅老所をぜひ取り組むべきと考えます。  そこで、本県には宅老所のようなものがどの程度あるか、お伺いいたします。  また、佐賀県では、支援制度を創設し、この宅老所の設置推進を図られておりますが、本県でも宅老所の設置を推進する取り組む考えがあるか、お伺いいたします。  御存じのとおり、島根県の高齢化率は全国1位となっておりますが、平成20年10月1日の推計では高齢化率は28.5%で、県民の約10人に3人が65歳以上の高齢者となっております。今後、いわゆる団塊の世代が高齢者となり、高齢者はさらに増加することが見込まれます。豊かな長寿社会を実現するためには、高齢者が要介護状態にならないように、地域支援事業などを通じて予防活動を徹底することはもとよりですが、生涯を通じた生きがい活動を推進するとともに、高齢者がいつまでも積極的に社会参加できるような支援をしていくことが重要であります。  このほど、今年度から3カ年の期間である第4期の島根県老人福祉計画・島根県介護保険事業支援計画が策定されましたが、元気な高齢者対策としての具体的な取り組みについてお伺いします。  高齢者のイメージは人それぞれと思いますが、国全体の何十年の先を進んでいると言われる水準である高齢化県の島根県を全国に発信すべきと考えます。高齢者が元気で安心して住める町として他県からも注目を浴びるならば、県外からも高齢者がI・Uターンという形で定住する、それに伴いお金や人の新たな環境が生まれ、ひいては産業や若者の定住にも結びつきます。全国の高齢者にとって魅力ある島根になるためには、県の高齢福祉施策のさらなる推進を図っていただく必要があります。  島根県の財産は高齢者です。本県のこれからの高齢者福祉施策に対する知事のお考えをお伺いして、私の質問を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 43: ◯議長田原正居) 溝口知事。  〔溝口知事登壇〕 44: ◯知事溝口善兵衛) 加藤議員の御質問にお答え申し上げます。
     最初は、私に対しましては、これから豊かな自然、文化、歴史を持つ島根の将来を担う子供たちへの教育について所見を問うということでございます。  御指摘にありましたけども、島根の子供たちへの教育につきましては、平成18年に文教厚生委員会からいただきました政策提言でありますとか、教育ビジョン21に基づきまして教育委員会におきまして一生懸命努力をしているところでございます。島根が将来にわたり元気であるためには、子供たちが健やかに育つよう教育を充実していくということは県政の大変重要な課題であると考えておるところでございます。  子供たちの教育の環境、私どもが小さいころと比較してみますと、やはり大きな変化が出てるように感ずるわけでございます。子供たちがいる場所としてはまず家庭があるわけでございますけども、かつては家庭の中にはおじいさん、おばあさんがいたり兄弟もたくさんいて、そこでもまれておったわけでございます。また、学校に行きましても非常に友達同士の濃密なつき合いがあったわけでございます。また、学校から帰って地域社会で遊んだりする場合も、上級生がいたり、隣近所の人たちが子供たちをよく見守ったり、悪いことをすると注意をしたり、非常に濃密な人間関係で子供たちが危ういほうに行かないような安全弁がいろいろできておったわけですけども、そういうものがやはり近年、都市化などに伴いまして非常に希薄になってるということでございます。それからもう一つは、やはりメディアとかテレビとか、いろんなインターネットとかを通じまして、子供たちだけで非常に強烈な刺激に遭うといいますか、ということが可能になり、そういう中でややバランスを欠いた物の見方をするようなことが起こり得るという時代になっておるわけであります。  そういう意味におきまして、子供たちが、加藤議員のお話の中にもありましたけども、濃密なつき合い、人間的なつき合いができるように、そういう力をつけていくということが大事な課題ではないかと思います。学校教育の中でコの字型の配置をしてそういうこともやられるという例もありましたけども、そういうことを含めまして種々努力、工夫をしていかなければならないというふうに考えておるところでございます。  そういう意味におきまして、今年度から学校におきます図書館の利用を充実していこうと、図書を通じまして、地道といいますか、じわっと来るような刺激を子供たちが受ける、それで考える力、いろんなことを想像する力を養おうと、教育委員会がやろうとしているわけでございます。こういうことも工夫しながら、子供たちが健やかに育つようにしていきたいと思っているところであります。  それから次に、私に質問といたしましては、先般発表になりました合計特殊出生率の低下についてのお話でございます。  合計特殊出生率は、一般的に申しますと、女性の方が生涯に何人ぐらいの子供を産むことになるのかという推計した数字でございますが、これが2ちょっとを超えると人口が余り減らないでいけるわけでございますけども、この率が非常に下がってきておるわけでございます。全国全体で現在が1.36とか37とかいってる状況でございます。そういう中で、昨年は島根県も少し下がりましたが、実は近年ずっと見ますと、島根県の合計特殊出生率はずっと全国2位ぐらい、あるいは2位、3位、さらには5位、6位でございまして、昨年は9位ということになりましたが、水準から見れば非常に高いんですね。東京などはもう1に近いわけでございまして、傾向として大都市ほど低いわけでございます。やはり大都市というのは生活の環境が厳しかったり子育てが難しい場所なわけでございます。そういう意味で、島根は豊かな自然があるし、御両親がそばにいたり、地域社会が温かく人を見守るといったことがあって、子育てが大都市と比べればいいところなわけでございます。そういう意味で、昨年の率が0.1ポイント下がったというのは、さほど大きな変化があったとは私は思いません。  他方で、出生数ですね、これはずっと下がるわけでございます。率は非常に高くても、子供を産む世代の若者の数が減ってくると、出生率掛ける夫婦の数ということになりますから、出生数が減るわけでございます。それはなかなか食いとめられないわけでございます。そこを食いとめるためには、大きく言って2つあるわけでありますけども、若い世代がこの地に残って、結婚して子育てをし、働くということであります。そのためには、やはり産業を興し、雇用の場がふえて、若者の数、絶対数がこの地にふえるようにならなきゃいけない。そのために、県は産業振興とかいろいろやってるわけでございます。  それからまた、今度は個人個人に見ると、子供さんを多く産むということ、あるいは多く産むために結婚する人が多くなるということが大事でございます。そういう意味で、議員が御指摘になった不妊治療といったものもそういうものに役立つんだろうと思います。他方で、やはり子育ては難しいわけでございますから、社会全体が若い世代の子育てを助けるようなことをしなければならないわけでございます。共稼ぎが可能になるように、あるいは出産期などに女性の方が自宅で回復をする、そういうものが就職など次の働くときに不利にならないようにとか、子育てをする環境を整備するということも大きな課題でございますし、あるいは子供の保育料、子供にかかる教育料等々について軽減をしていく。これは県だけじゃあなかなか難しくて、国自身がやってまいらないと難しい面もありますけども、そういうものをやっていく。2つのマクロ的な対応と、夫婦、子育てを容易にするという2つをあわせてやっていく必要があると考えているところでございます。  それから、最後でありますけども、高齢者は島根にとっては宝のような存在で、財産とおっしゃられたわけですけども、生涯にわたって生きがいを持って生き生き暮らせるということが大事なんだという御指摘でございます。御指摘のとおりでございまして、やはり健康で元気に暮らしていけるというのが御高齢者にとって最も大事な幸せの源泉であるわけであります。  島根県各地を回りますと、御高齢の高齢者の比率は非常に高いんでありますけども、元気な御高齢者が多いというのももう一つの事実でございます。いいかどうかは別としまして、80を超えられても御自分の前の田んぼを耕しておられる方もおられるわけでございますが、そういう方々は生産を続ける、実りを収穫するという喜びを味わいながら健康に過ごしておられるということでございまして、高齢者比率が高いということ自体が悲惨な状況をあらわすものではなくて、元気な生活ができるようにするということは大事な課題であります。  そのためには、やはり健康に注意をするとか、あるいは若いころから、小さいころから食育についての教育を行うとか、あるいは地域社会でみんなで助け合うとか、あるいは御高齢の方は結局活動の場としては家庭、職場とあるんですけども、リタイアしてみますと非常にほかの仕事がありませんと刺激が少なくなるわけでございます。そういう意味で、地域社会の活動とか社会貢献活動をすることによって、逆に元気をもらうということがあるわけでございまして、県も社会貢献活動をどんどん進めたいと思ってますけども、そうしたものも地域社会が元気になり、あるいは御高齢の方々も元気に活動される場を提供することにもなると思うわけでございます。  それから、もちろん不幸にして病気になるとか、あるいは介護が必要になるというようなことがありますが、そういう面での行政としての対応もしっかりやりながら、地域社会が活発に動いていくよう県として最善の努力をしていきたいと考えておるところであります。 45: ◯議長田原正居) 加松総務部長。  〔加松総務部長登壇〕 46: ◯総務部長加松正利) 本県における住民によるAEDの使用実績についてお答えいたします。  県民によるAEDの使用実績についてですが、平成19年に全国において一般市民により、心原性心肺機能停止、これは心臓に原因がある心肺機能停止でございますが、それが目撃された件数は1万9,707件でありまして、このうち一般市民によるAEDの使用件数は287件となっており、その比率は1.46%となっております。  一方、本県による県民による心原性心肺機能停止の目撃件数は平成19年で162件でありまして、このうち県民によるAEDの使用件数は1件となっておりまして、その比率は0.6%となっております。  なお、県内、先ほど申し上げました162件の心肺機能停止件数のうち、救急隊によるAED使用件数は33件となっているところでございます。  次に、県民に対するAEDなどを活用した講習についてお答えいたします。  県民に対するAEDなどを活用した救命講習につきましては、主として県内の各消防本部の主催により行われておりまして、平成20年におけます県内各消防本部の講習実績は延べで543回、参加人数は1万273名となっております。  AEDにつきましては、より多くの県民の方が使えるようになることが重要でございまして、消防本部におきましては、ホームページや広報紙を活用して講習への参加を呼びかけますとともに、企業、自治会、学校等からの要請に応じます出張講習会ですとか、あるいは個人単位でも参加可能な定期講習会、また日曜日に講習会を開催するなど、それぞれの地域に応じた講習会を実施しているところであります。 47: ◯議長田原正居) 錦織健康福祉部長。  〔錦織健康福祉部長登壇〕 48: ◯健康福祉部長(錦織厚雄) 私からは、少子化対策、それからAED、高齢者福祉の3点についてお答えをいたします。  まず、少子化対策の制度の県民への周知についてでございますけども、次代を担う若い世代を始め、幅広い年齢層の県民の皆さんに少子化対策の必要性でありますとか制度、取り組みについて理解を深めていただくことは極めて重要でございます。こうした考え方から、これまでも少子化対策の取り組みにつきましては、重点的かつ効果的な広報に努めてきたところでございます。  具体的には、フォトしまねに子育てサロンや島根子育て応援企業こっころカンパニーの紹介記事を毎号掲載しておりますし、ことし3月には県政新聞特集の「考える県政」のテーマとして少子化対策を取り上げたところでございます。  また、島根県立大学短期大学部におきまして、県の少子化対策を担当しております職員が出向きまして少子化対策の取り組みについて講義をいたしましたり、それから出会いのイベント情報などをメールマガジン「恋みくじ」で配信するなど、周知すべき対象者や媒体、手法等を適切に組み合わせた情報提供にも努めているところでございます。  今後、これらに加えまして、しまね出前講座でありますとか、パンフレットを配布したり、さまざまな手法を活用いたしまして、若い世代の方、またほかの世代の方、あらゆる世代の人に少子化対策に関する理解を深めていただきますように効果的な周知に努めてまいりたいと考えております。  次に、不妊治療に対する支援の考え方についてでございます。  不妊治療につきましては、議員御指摘のとおり、少子化対策にも有効な手だての一つとして大切だと考えております。しかしながら、専門的な相談窓口が少ないこと、それから不妊に対する理解が不十分であることなどの問題がありまして、県としてもこれまで不妊専門相談センターによる相談事業や不妊に対する正しい理解を普及するための不妊セミナーの開催などに取り組んできております。  このほか、不妊に悩む方々への経済的な負担を軽減するために、国の補助制度を活用した助成事業を本県におきましても平成17年度から取り組んでおります。この事業は、1組の夫婦につきまして1回の上限額が10万円で年度内に2回、通算5年間を助成対象としております。今年度は、国の経済対策によりまして1回の助成額が10万円から15万円に引き上げられたところでございます。  一方、医療保険適用につきましては、厚生労働省によりますと、体外受精等の不妊治療については、不妊の原因となる疾病の治療を目的としたものかどうか、またその成功率がまだ必ずしも高くなく、有効性が確立していると言えるかどうかなどの点から、現時点では保険適用とすることは困難だとの見解を述べております。  こうしたことから、県といたしましては、子供が欲しいと願っている方々の思いを受けとめ、医療保険の適用のみならず、補助制度の拡充も含めた負担軽減策を国に要望してきたところでございまして、今後ともさらに他県等とも連携をいたしまして国に働きかけてまいりたいと考えております。  次に、AEDについての御質問でございますが、まず公共施設並びに民間施設の設置状況と普及促進の考え方についてでございます。  県といたしましては、AEDの県内普及推進の立場から、県関係の施設への設置をまず率先して進めてきておりまして、県立高校全校で設置をされているのを始め、公共施設におきましてほぼ設置が完了している状況でございます。設置数といたしましては、平成20年度末時点で131カ所の189台でございます。また、市町村ではすべてで取り組まれておりまして、平成20年度末時点で562カ所の594台が設置されております。例えば松江市や出雲市など12市町村では、すべての公立小中学校に設置をされております。  一方、民間施設に限った調査データはございませんが、厚生労働省研究班の調査によりますと、平成20年12月末現在で公共施設と民間施設合わせて県内全体で約1,100台の設置となっておりまして、これは前年の調査に比べまして約2倍の設置数となっております。これを人口10万人当たりの設置数で見ますと約150台でございまして、全国で第5位に当たり、民間施設も含めて安全・安心のPRや社会貢献意欲の高まりなどから、設置が相当程度進んできていると考えております。  今後、さらなる普及に向けまして、現在保健所が所有しておりますAEDの各種イベントなどへの貸し出し等、これまで行ってきております事業に加えまして、今後はAEDの設置箇所を示す地図の作成などを行いまして、利用者の方の利便性の確保はもとより、県内広くAEDの認知度を高めていきたいと考えております。  次に、AEDの維持管理に対する考え方でございますが、AEDが十分な効果を発揮するためには、常に正常に動作するように適切な管理が御指摘のように必要でございます。本年4月には、国から販売業者に対しまして適切な維持管理について指導がなされております。具体的には、販売業者が各設置場所に赴き、バッテリーやパッドの使用期限の表示ラベルを取りつけること、これに伴って点検責任者の設置と日常点検の実施を設置施設に周知することというものでございます。さらには、県といたしましても、このような国からの維持管理の指導につきまして、県有施設でありますとか市町村に対しまして周知を図っております。今後も設置施設において適切な管理が図られますように指導に努めてまいります。  次に、高齢者福祉についてお答えをいたします。  まず、宅老所の状況についてでございます。  宅老所につきましては、法的な定義はございませんが、介護保険制度創設前には民間の自主的な取り組みといたしまして、高齢者の皆さんの預かりでありますとか泊まりとか、そういうことを提供する形として宅老所が全国的に存在していたものでございます。平成12年に介護保険制度が施行されまして、こうした自主的な取り組みは全国的に介護保険サービスに発展してきております。現状では、詳細は不明でございますけども、利用者の便宜を図るためにデイサービスに介護保険制度の外で宿泊サービスが行われていることがあることも承知をしております。  高齢者が住みなれた地域での生活を継続していけるように、身近なところで通いを中心としまして、泊まりや訪問を組み合わせてサービスを提供する小規模多機能型居宅介護が平成18年度から制度化されております。県といたしましては、このサービスを県内に普及させることで要介護者の在宅生活を支援をしてまいります。  またさらに、元気な高齢者に対しましては、介護予防事業の中で生きがいや社会参加の促進を図るために、市町村独自にさまざまな取り組みが実施されております。こうした取り組みも支援をしていくということにしたいと思います。  次に、元気な高齢者の皆さんの対策ということでございます。  議員御指摘のように、高齢化の進んだ本県においては、高齢者の皆さんが自分の能力と責任において生涯現役で生活をされまして、積極的に社会に参加されるということが期待をされておるということだと思いますが、このために、豊富な経験を持たれます高齢者に対しまして、さらに幅広い知識を習得する場を提供して、地域社会の担い手として活躍されるための資質の向上を支援する高齢者大学校の運営事業でありますとか、それから任意の高齢者グループによる生産活動や地域貢献活動を支援するしまねいきいきファンド事業、それから地域に密着して生きがいづくり・健康づくり活動に取り組んでおられます老人クラブへの助成事業などに取り組んでおりますほか、地域活動に関心を持っておられます、いわゆる団塊の世代を始めとした中高年者層に対しまして、地域との橋渡しをするためのモデル事業も行っております。  また、75歳以上の高齢者であって各種生産活動やボランティア活動など現役で活動されておる方に知事認定証を交付する生涯現役証交付事業のほか、100歳以上の健康な長寿者を知事表彰するなどの顕彰事業なども行っております。  こういう年齢に応じましてさまざまな事業を行うことによりまして、高齢者の方お一人お一人が年齢にとらわれることなく積極的に社会参加していかれる意識醸成を進めているところでございます。以上でございます。 49: ◯議長田原正居) 藤原教育長。  〔藤原教育長登壇〕 50: ◯教育長藤原義光) 私のほうにも8点について質問いただいておりますんで、少し時間をいただきたいと思います。  まず、新学習指導要領の教育現場に対する趣旨の周知徹底についてでありますが、この3月に島根県の教育課程審議会に諮問しておりました、今後の島根県における望ましい教育のあり方についての答申を得ております。この答申は、島根の目指す教育についてのポイントを明らかにいたしまして、具体例を示すことでわかりやすいものになっております。また、このポイントについて、特にその中でも島根の教育で大切にしたい点についてリーフレットも作成いたしました。  そして、この答申については、全教職員が読むべきだというふうに考えまして、リーフレットとともに県内の幼稚園、小学校、中学校の全教職員に配付いたしました。また、今年度の管理職の研修会での私の講話の中で、県内の5カ所10回行いましたが、小中学校のすべての校長、教頭に対しまして、具体的な内容にも触れながら、ぜひ全教職員が読んで趣旨を理解し、島根の教育を進めてほしいということを要請いたしました。今後の経験者研修でありますとか、教務主任研修あるいは事務職員研修などにおいても各担当から周知を図ってまいります。  また、保護者に対しましても、このリーフレットを使いまして、PTAの総会あるいは学級懇談会などを通じまして保護者あるいは地域の方に対して、島根の教育で大切にしたい点ということを周知を図ってまいりたいと思っております。  次に、コの字型の机の配置によります学習についてであります。  本県の小中学校におけるコの字型の机の配置による状況を調査いたしましたが、常時コの字型にしておるところと、教科とか学習内容によって机を動かす場合等もありますが、両方合わせますと小学校では80%、中学校でもおよそ55%がそういう形態での授業を行っておりまして、意外に多くてびっくりした数字でありました。学校で、こうしたコの字型のほかに、島をつくりまして、それでグループ学習なども行っておりますが、こうした学習の形態というのは、児童生徒が互いの顔を見ながら発表したり、あるいは意見を聞いたりできるという点での利点があると思っております。学び合おうとする雰囲気をつくりまして、児童生徒が言葉を使って伝えたいことをそれぞれ伝えたり、あるいは聞くということによりまして、言語能力を高めることにも有効であると考えております。  紹介がありましたように、このたびの学習指導要領の改訂の中では、イの一番に言語活動の充実が上げられておりまして、この考え方には私も非常に賛同しております。言語能力は、単に知的な活動だけでなくて、常々申しております感性の部分のベースにもなるということでありまして、またコミュニケーションの能力、思ったことが表現できる、あるいは相手が言いたいことや思いを酌み取るということについての能力でもありますし、論理的な物の考え方にも通じると思います。今後もこうした教室の机の配置のあり方も含めまして、各学校が工夫して取り組めるよう進めてまいりたいというふうに考えております。  次に、特別支援教育の関係であります。  まず、通級によります指導でありますが、小中学校の通常の学級に在籍しておる生徒などで、軽度の障害で、言語障害とか、あるいは自閉症、注意欠陥多動性障害などがある生徒が対象であります。この通級の形態に3つの形態がありまして、1つは、自分の学校で通級指導教室を開校しているところに通う、自校通級と言っております。2つ目には、他の学校での教室に通うところの他校通級。3つ目には、通級の指導の担当教員のほうが学校を訪問して行うところの巡回の指導であります。それぞれ全部合わせました本県の対象者の状況については、昨年度の場合で、全県では小学校で21校441名、中学校では9校132名が対象になっております。  次に、法改正に伴います特別支援教育の取り組みについてであります。  平成19年4月の学校教育法の一部改正によりまして、特殊教育から特別支援教育へ転換が図られました。その中で、通常の学級に在籍する発達障害などの障害のある子供たちの自立と社会参加に向けた主体的な取り組みを支援するという視点が明らかにされました。  そこで、小学校においては、特別な支援を必要とする子供に対して非常勤講師を配置するニコニコサポート事業の実施でありますとか、先ほど述べました通級による指導を通じて特別支援教育の推進を行っておるところであります。  また、幼稚園、小学校、中学校、高校、各学校において校内の支援体制を整えるという意味では、特別支援教育コーディネーターというのを各学校で指名をしております。また、校内で支援の具体化について協議する校内委員会の設置を進めてまいっております。  また、特別支援学校については、平成19年3月に転換基本計画というものを策定いたしまして、それぞれの特別支援学校が自分とこの担当以外のさまざまな障害にも対応する体制をつくる、地域の学校に対する相談の支援を行うというふうなセンター的な機能の充実を図ることにいたしております。  次に、早期からのこうした障害に対する対応についてであります。  療育とか、あるいは医療の分野にかかわるところが大ではありますが、例えば療育相談あるいは健診、健康相談などでの早期な対応を行うことによりまして、早期からの支援をする体制をつくっていくということが大事だと考えております。  教育委員会といたしましても、関係機関と連携協力しながら、それぞれが果たすべき役割を果たしていく必要があると考えております。例えば乳幼児の段階からでありますと、テレビや携帯電話を見ないで、ちゃんと目を見ておっぱいをやるというふうなことの重要性も言われておりますし、スキンシップの重要性も言われております。また、親の生活リズムが子供の生活リズムに密接に関係があるということからいたしますと、昼と夜の、夜になったら眠る、夜が明けたら起きるというふうな、そういったリズムを乳幼児のときからつくっていくというふうなことの重要性も指摘されておりまして、そういうことも含めまして、それぞれの関係機関が協力いたしまして養育の体制の整備を心がけていく必要があるというふうに考えております。  次に、特別支援学校の在籍の人数、それから増加の要因についてであります。  人数について、5年前と比較いたしますと、平成16年度の総在籍者数は689名でありました。それが平成21年度、今年度は865名となっておりまして、176名の増加であります。そのうちで知的障害のある生徒に対します教育を行っております養護学校の高等部について見ますと、平成16年度の280名が今年度は415名、135名の増加を見ております。  その要因としては、さまざまなことがあろうかと思いますが、その一つとしては、特別支援教育を充実してきたこと、保護者の養護教育についての理解が進んだことが大きな要因であるというふうに考えております。  次に、こうした特別支援学校の卒業生の進路の状況あるいは進路指導の取り組みについてのお尋ねがありました。  各学校の高等部と専攻科のあります盲学校、聾学校の専攻科の卒業生の進路状況について見ますと、平成16年度では一般就労が28%、平成20年度、この3月には34%でありました。また、福祉的な就労について見ますと、卒業生の約50%となっております。この一般就労率は、全国平均から見ますと、例年約10%高い数値を示しておりまして、その要因として考えておりますのは、県単の事業として平成10年度より行っております「あいワーク事業」と称する事業でありますが、この事業によりまして進路開拓の推進、職業教育の充実、卒後の支援というふうな点について、労働、福祉の関係部局・機関とも連携して取り組んでまいっておるのが成果につながっておるというふうに考えております。  次に、在学中における現場実習への支援についてであります。  こうした現場実習も、自立支援法に基づきます国の事業の対象にはなっておりますが、実施の時期あるいは日数が限定されておるということのために、各学校においては利用しにくい状況にあります。例えば、その対象が高等部の3年生に限られておるというふうな点であります。  今後、学校において使いやすい方向への改善が必要だというふうに考えます。そして、場合によっては、自立支援法に基づきます県単の制度の補完も含めまして、関係部局と実務的な協議を行ってまいりたいというふうに考えております。以上でございます。 51: ◯議長田原正居) 以上で本日の議事日程は終了いたしました。  次の本会議は6月26日に開きます。  本日は、これをもって散会いたします。        午後4時29分散会 発言が指定されていません。 島根県議会 ↑ 本文の先頭へ...